バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

フランシス・モンクマンが奏でるラモー

 うちでは、朝6時から始まるNHK-FM古楽の楽しみ」が目覚まし時計の代わりだ。先週は「ラモーの鍵盤音楽を中心に」という特集で、1月14日にはスコット・ロスやオリヴィエ・ボーモンの演奏に混じって、スカイ(Sky)の初代キーボード奏者フランシス・モンクマン(Francis Monkman, 1949- )が演奏した「ガヴォットと6つのドゥーブル」(「新しいクラヴサン曲集」より)が放送された。

 この演奏はスカイのセカンド・アルバム「Sky 2」に収録されているものだが、ロック・バンドのためのアレンジではなくオリジナル通りのチェンバロ版だ。1980年4月にリリースされたスカイのセカンド・アルバムはイギリスのチャートで1位を獲得したから、普通のラモー・アルバムに収録されている演奏よりも多くの人に聴かれているのではないかな。
SKY 2
 Wikipediaによるとモンクマンはロンドンの王立音楽大学(Royal College of Music)出身で、検索してみたら1969年にはイギリス・ハープシコード協会からレイモンド・ラッセル賞を授与されている。現代ピッチではあるけれども、しっかりとした構成感をもった演奏なのは、ちゃんとした基礎があるからなのだろう。

 ところで、この作品は往年の巨匠オットー・クレンペラー(Otto Klemperer, 1885-1973)がオーケストラ用に編曲している。1967年の編曲というからモンクマンの受賞の2年前のこととなる。クレンペラーのライヴ録音を収めたCD(Testament SBT1482)の解説書(PDF)によると、当時この編曲は賛否両論だったらしい。テレグラフ紙には「テーマの再現を強調するあまり変奏部分での上品な装飾音がわかりにくくなってしまった」と書かれている。

 一方、ボブ・ジェームスのラモー・アルバムに収録されているシンセサイザー版では、様々な音色によって変奏ごとの特徴が手に取るようにわかるのがおもしろい。カラフルに彩られた、最高に楽しいラモー。