コープマンのベルリン・フィル定期デビュー
2010年1月のベルリン・フィル定期演奏会にトン・コープマン(Ton Koopman)が初登場(1月28-30日)。ベルリン・フィルの魅惑的なウェブ・サービス「デジタル・コンサートホール」(Digital Concert Hall)では、2010年1月30日の公演を観ることができるとのこと。さっそく4分ほどのサンプル・ビデオを観てみました。
- Digital Concert Hall - concertarchiv
http://dch.berliner-philharmoniker.de/?a=hmv&c=true#/en/concertarchiv/archiv/2010/1/t288/
演奏者と曲目はこちら。
Berliner Philharmoniker
Ton Koopman Conductor
Klara Ek Soprano
Rachel Frenkel Mezzo-Soprano
Ingeborg Danz Contralto
Werner Gura Tenor
Klaus Mertens Bass
RIAS Kammerchor
Hans-Christoph Rademann Chorus Master
Johann Sebastian Bach
Orchestral Suite No. 3 in D major
Joseph Haydn
Symphony No. 98 in B flat major
Johann Sebastian Bach
Motet »Lobet den Herrn, alle Heiden«
Johann Sebastian Bach
Magnificat in D major BWV 243
(Berliner Philharmoniker: Programme details より転載)
オーケストラについて気がついたことをメモ。
- オーケストラの中に通奏低音用チェンバロとオルガンがあるが、コープマンの前にもポルタティーフ・オルガンがあり譜面台としても使われている
- コンサートマスターは期待の星、梶本大進氏
- 弦楽器の人数はファースト・ヴァイオリン8名、セカンド・ヴァイオリン7名(?)、ヴィオラ4名、チェロ3名、コントラバス2名
- 弦楽器の配置は左から順にファースト・ヴァイオリン、セカンド・ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
- ベルリン・フィルにはバロック・ボウがあるはずなのに、使っているのはモダン・ボウ
- 弦楽器のヴィブラートは控えめ(のように見える)
- フルートは黒檀。バッハでのトランペットはピッコロ・トランペット。ティンパニも通常のもの
- ハイドンの第4楽章で演奏されるのはフォルテピアノではなくオルガン(奏者はコープマン)
- バッハのモテットで通奏低音はチェロ、コントラバス、オルガン
HMVのサイトには、ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt)がベルリン・フィルに登場し、ハイドンのオペラ「騎士オルランド」を演奏した際のインタビューが掲載されていますが、そこで彼は「ベルリン・フィルとハイドンを演奏することは、白紙からスタートするようなものです」と言っています。
しかしその後で
私はブラームスやバルトーク等を演奏するオーケストラが、彼らの伝統の根であるバロックやそれ以前のレパートリーを進んで演奏するべきだと思います。[中略] もちろんこの場合は、たくさんのリハーサルが必要となります。しかし楽団員には、特定のフレーズをなぜそのように演奏しなければならないか、知る権利があるでしょう。もちろん<これはこうやってください>というだけでも、バロック的奏法を実行することは可能です。しかしどうしてそうなのか、という理由・背景を理解することもたいへん重要だと思います。
(http://www.hmv.co.jp/news/article/911300003/ より転載)
と、現代のオーケストラが18世紀以前の音楽にも積極的に取り組むべき理由を述べています。
- YouTube - Nikolaus Harnoncourt on Haydn's "Orlando Paladino"
コープマンとベルリン・フィルの演奏がどのようなものだったのか、実演に触れてみたかったような気がしています。