バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 コニカミノルタプラザ企画展「Sign −写真家たちの311−」 - ふたたび

 会期が2011年8月11日(木)までということだったので、もう一度会場を訪れてみました。そこにあるのは、1週間前に見た震災の写真と同じであるはずなのですが、今回は少し違って見えたような気がします。
 一番の違いは、そこに「色」が見えるようになったこと。先週見たときには、モノクロ写真に強い衝撃を受けました。本当は色があるのに色のない世界。1週間経った昨日は、空に広がる青い色と茶色い瓦礫が作り出すコントラスト、あるいは人々の肌の色、服の色、希望の色、絶望の色が目に飛び込んできました。
 でも、写真の中に音を聴くことは今日もできませんでした。そこには本当に音がなかったのでしょうか。それとも、ただ単純に私がその音に届かなかっただけなのでしょうか。
 会場を出ると、新宿のビル街の上に月が黄色く輝いていました。そういえば、地震があって家に帰れなかったあの晩も、同じ月が同じように輝いていたっけ。
 ふと思い立って、帰りがけにイヴォンヌ・ミントンが歌うマーラー「リュッケルト歌曲集」のCDを購入。彼女は「Ich bin der Welt abhanden gekommen」の「Und ruh'」をノン・ヴィブラートに近いソット・ヴォーチェで歌い、その瞬間に時が止まるのです。
 癒やしではなく、無へと解消されていく時間。音があるのに音のない世界。

マーラー:交響曲第10番~アダージョ

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