バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 エルガー「交響曲第2番」

 というわけで、2つ前のエントリーに引き続いて、エドワード・エルガー(Sir Edward William Elgar, 1857-1934)の「交響曲第2番 変ホ長調 作品63」。

 今から100年くらい前の1910年から1911年にかけて作曲されたということは、グスタフ・マーラー交響曲第10番やイーゴリ・ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」と同じ頃の作品。スコアを見る限り、オーケストラの規模がでかくて演奏するにはやっかいな作品みたいだから、本家イギリスはともかく、日本での実演回数は少ないのではないか。
 第2交響曲には、エルガー自作自演のディスクが2種類ある。ひとつはアコースティック録音の時代、1924年から翌1925年にかけて録音されたロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団(The Royal Albert Hall Orchestra)とのもの。もうひとつは、電気録音の時代になった1927年にロンドン交響楽団London Symphony Orchestra)と録音し、エルガー70歳を記念してHMVから発売されたもの。どちらもレコード片面に3分ほどしか録音できなかった時代に、10面以上も使った全曲盤だというから驚く。特に、最初のディスクは電気的なマイクロフォン以前のもの。ちなみに、1914年におけるアコースティック録音のレコーディング・ルームというのはこんな感じ。10年後の様子というのはどうだったんだろう。



 1924-1925年の録音は、掛け値なく立派な演奏だと思う。アンサンブルは決して乱れず、大事な音はきちんと聴こえてくる。「1面3分」という録音上の制約があるからどこまで作曲者の本来の意図を反映しているかはわからないが、スコアと照らし合わせて聴くなら、エルガー自身が「どのように演奏してもらいたいと思っていたのか」ということはだいたい分かるのではないかな。
Elgar Edition 1914 Elgar Conducts Elgar-Complete Recordings
 ちなみに、1927年の電気録音はYouTubeでその全曲を聴くことができる。4楽章全体で52分ほどだから、某プログラムに書いてあった「約65分」という演奏時間は「遅め」のテンポ設定と言える。

 というわけで、「その2」に続く。