バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 トスカニーニが奏でるジェミニアーニの響き

 くにたちバロックアンサンブルの選曲大会が始まっている関係で、楽譜やらCDやらを漁っている。この頃は楽譜をネットで入手できることも多く、昨日の初見大会で試演したリュリ「プシシェ」などはスコアとパート譜をIMSPで見つけてダウンロードした。楽譜を注文してから入手するまで「船便で何ヶ月」なんていう時代に生きていた世代としては、その手軽さに歓喜感涙。

 YouTubeにも様々な音源があって、その中で最近よく聴いているのは、アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini, 1867-1957)が指揮したフランチェスコ・ジェミニアーニ(Francesco Geminiani, 1687-1762)の「合奏協奏曲 ト短調 作品3-2」。オーケストラはBBC交響楽団、1935年6月12日、クィーンズ・ホールでの演奏。

 「コレッリではなく、なぜジェミニアーニ?」と思わないでもないが、カルロ・マリア・ジュリーニが同じ作品3-2を1978年にベルリン・フィルと演奏しているところを見ると、ジェミニアーニは歴史書の中だけではなくコンサートホールにおいてもそれなりのステイタスを確保していたのだろう。

 たった8分ほどの曲だというのに、トスカニーニの演奏は気迫がこもっていて見事だ。中でも、普段2分以上かかる第2楽章4分の3拍子のアレグロを、たったの1分41秒で駆け抜けているのは新鮮な驚きとも言える。そのせいもあってか、楽章ごとのコントラストがくっきりと描かれれており、緊張感を持ってジェミニアーニの作品を聴くことができる。
 ちなみに、この演奏は「West Hill Radio Archives」というレーベルから発売されているCDにも収録されているのだが、NMLで聴く限り、第2楽章と第4楽章の順番が入れ替わっているようだ。演奏後の拍手がカットされているので、どっちが本当なのかは不明。CDの解説書には何か書いてあるだろうか?

 なお、ジェミニアーニの「作品3」は1732年の作だが、1755年に出版された改訂版というのもある。トスカニーニが使っている楽譜は改訂版の方で、これもまたIMSPでダウンロードできる。ああ、なんて素晴らしい世界。