バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ヘンデル「合奏協奏曲イ短調 作品6-4」の演奏を終えて

年末の大掃除をしていたら「くにたちバロックアンサンブル 第6回演奏会」(2009年5月10日、ウィーンホール)でのスピーチ原稿が出てきました。
せっかくなので、一部加筆修正を施し、ここに記録として残しておくことにします。

今年2009年はパーセルの生誕350年、ハイドンの没後50年、メンデルスゾーンの生誕200年と共に、ヘンデルの没後250年という記念の年です。
過去を振り返ってみると、くにたちバロックアンサンブルでは、弦楽合奏だけで演奏することが可能なヘンデルの「合奏協奏曲集作品6」を何度か取り上げており、先程のイ短調の作品を加えると、全12曲のうちの7曲を演奏してきたことになります。
ヘンデルの作品は、20世紀においてもオーケストラのための基本的なレパートリーとしてよく演奏されてきました。しかし1980年頃、つまりアーノンクールのような古楽出身者がモダン・オーケストラの指揮台に立つことが増えるようになる時期を境に、ヘンデルの作品は、他のバロック時代の作品と共にシンフォニー・オーケストラの中心的なレパートリーからは次第に外されるようになってきました。
そのことは作品の再創造、つまり「演奏」という観点から言えば当然の成り行きと考えられるかも知れませんが、残念ながらヘンデルの合奏協奏曲はバッハの管弦楽組曲やヴィヴァルディの「四季」とは違って、その後シンフォニー・オーケストラの演奏会からは姿を消してしまい、私たちがそれらの作品に直に接する機会も失われてしまいました。
これは極めて不幸なことと言わざるを得ません。なぜなら、ヘンデルの合奏協奏曲はどの曲も唯一無二、他では代え難い価値を持った作品だからです。

幸いにして、私たちは2009年の記念の年にヘンデルを演奏する機会を得ました。今後、ヘンデルに限らずバロック時代の作品がますます盛んに演奏され、その素晴らしい音楽を一人でも多くの方々と共有できるようになることを願ってやみません。
本日はありがとうございました。