バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ストコフスキーが指揮する「マイスタージンガー」

レオポルド・ストコフスキーを聴きはじめてから、すでに30年以上の時が経とうとしています。もちろん実演に接したことはありませんが、SPレコードの復刻に熱心に取り組んでいたイギリスのビダルフやパールなどのレーベルからCDが出る度に、入手しては聴いていた時期もありました。
編曲ものを別にすれば、その中でもフィラデルフィア管弦楽団とのワーグナーの演奏は絶品中の絶品でした。SPレコードのフォーマットから溢れてしまいそうなくらいカラフルな音のラインがお互いに戯れつつ進行するその音楽は、他の指揮者からは絶対に聴くことのできないものでした。
そのストコフスキーが、彼の生誕90歳を記念するコンサートでロンドン交響楽団を指揮するビデオを見つけました。曲目は「楽劇<ニュルンベルクのマイスタージンガー>第一幕への前奏曲」です。

  • YouTube - Wagner: Die Meistersinger Prelude (Stokowski)

これは、LPレコードやCDで何度か発売されていたもので、高校生くらいの時期から何回聴いたかわかりません。
この演奏で一番特徴的なのは、1分56秒くらいから始まる部分かと思います。ここは、ややもすると金管を一本調子に鳴らしまくってしまうところなのですが、ストコフスキーは「パンパカパーン」というファンファーレは金管、その後のコラール風なモチーフはダブルリードを中心とした木管、というように音色をコントロールして、極めて巧みに作品にその内容を語らせています。
残念なことに、このビデオは映像が音より16分音符1拍分ほど遅いようで、なんとなく見ていてしっくりきません。ですが、この演奏に再会できたことを私は心から喜んでいます。
ありがたいことに、当日演奏された別の曲(ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」)もYouTubeで見ることができます。こちらも素晴らしい。