バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 無伴奏チェロによる名作「Julie-o」

ジャズ界で活躍する弦楽四重奏団タートル・アイランド・クァルテット(Turtle Island Quartet)。クロノス・クァルテット(Kronos Quartet)以降、ジャズやポピュラー路線の弦楽四重奏団がいくつか話題になりましたが、そのほとんどはぱっとしないまま消えてゆきました。しかし、亀島さんたちは違います。デビューCDに参加していたヴァイオリンのダロル・アンガー(Darol Anger)はすでにいませんが、デヴィッド・バラクリシュナン(David Balakrishnan)やチェロのマーク・サマー(Mark Summer)がその伝統をしっかりと支えているように思われます。
そのマーク・サマー自身が弾く「Julie-o」をYouTubeで見つけました。

「Julie-o」は、タートル・アイランド・ストリング・カルテットのセカンド・アルバム「Metropolis」に収録されていた無伴奏チェロのための作品です。最初に聴いたときから「一体どんな弾き方をしたらあんな音が出るのだろう?」と不思議に思っていただけに、とても興味深くそのヴィデオを観ました。ノン・ヴィブラートや開放弦・重音の音色、多彩なピチカート、控えめだけれども印象的なヴィブラート、そしてしなやかなボウイングに目を奪われました。
しかし、心を奪われたのは、聴衆を包み込むようにして一緒に音楽を楽しもうというその姿勢です。チェロという楽器から紡ぎ出されるようにして出てくる響きの中に、バロック音楽とは異なったスタイルではありますが、聴衆に対して「言葉のように語りかけるもの」があるように感じられます。
YouTubeには、いろいろな演奏者による「Julie-o」のビデオが数多く掲載されています。この作品が広く愛されているのは、「響き」によってコミュニケーションを図ろうとするマーク自身の姿が作品の中に込められているからなのかもしれません。