バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 グレツキ作曲「交響曲第3番<悲歌のシンフォニー>」 【追記あり】

ヘンリク・ミコワイ・グレツキ(Henryk Mikołaj Górecki, 1933-2010 )の「交響曲第3番<悲歌のシンフォニー>」が話題となり、CDがベストセラーになってから、もう15年以上の年月が経っています。最初にこの作品を聴いたとき、「耳に心地よい」というより、ひとつひとつのカノンの層が心の底に沈殿していくような重苦しい雰囲気に打ちのめされたことを今でもよく覚えています。
HOLOCAUST - A Music Memorial Film from Auschwitz上掲のヴィデオは“HOLOCAUST - A Music Memorial Film from Auschwitz”の一場面で、この交響曲の第2楽章「お母さま、どうか泣かないでください」をアウシュヴィッツで演奏したものなのだそうです。「音楽というものは音だけで聴き手を納得させなければならない」ということを言う人もいますが、こうやって映像を伴った形であらためて聴いてみると、あの時に聴けていなかったものが目と耳から飛び込んでくるような気がします。
「百聞は一見にしかず」という諺通り、作品が生み出されたコンテクストと演奏を重ね合わせたこの映像を通して、私たちは何を学ぶことができるのか。もう一度そんなことを考えてみたいと思っています。

2010.11.14追記:
ニュースによると、グレツキは2010年11月12日に76歳で亡くなられたそうです。「Totus Tuus(すべて御身に)」を聴きながら、心よりご冥福をお祈りいたします。