バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ワッセナール伯(ヴァッセナール伯)の楽譜、準備中です。

Sei concerti armonici / Unico Wilhelm van Wassenaer ; edited by Albert Dunning
くにたちバロックアンサンブルでは、次回の演奏会でオランダの作曲家ワッセナール伯Count Unico Wilhelm van Wassenaer, 1692-1766)の「コンチェルト・アルモニコ(Concerti Armonici)」から、第4番ト長調を演奏する予定にしています。
「コンチェルト・アルモニコ」は過去においてはカルロ・リチョッティ(Carlo Ricciotti, 1675-1756)あるいはペルゴレージ(Giovanni Battista Pergolesi, 1710-1736)の作品と見なされてきましたが、1979年にワッセナール伯が生まれたトウィッケル城(Kasteel Twickel)のアーカイブズで手稿譜が発見され、その後の研究で「間違いなくヴァン・ヴァッセナールの作品であることが明らか」(Wikipedeia)にされました。
2003年にはその手稿譜に基づくクリティカル・エディション刊行され、スコアだけではなくパート譜も入手可能だということだったので、今回はそれを使うことにしました。

現在、その楽譜にフレージングやアーティキュレーションなどの書き込み作業を行っているところです。バロック音楽は「音の形を紡ぎ出して文章を形成していく」ようなところがあるので、その作業をしている間は作曲家の「音楽の思考法」を辿っていくような錯覚にとらわれることもよくあります。
下の画像はその作業の途中経過です。くにバロで使う楽譜には「//」とか「/」によってセクションやフレーズの切れ目を、スラーやスタッカート、そして「┌──┐」(テヌートでつなげる)という独自の記号によってアーティキュレーションの指示を書き込んでいます。また練習時間は限られているので、トリルなどの演奏法もなるべく書いておくようにしています。
スコアへの書き込みが済むと、それをパート譜に書き写す作業が待っています。「コンチェルト・アルモニコ」はヴァイオリンが4パート、ヴィオラが1パート、それにチェロと通奏低音(今回はコントラバスと鍵盤用の2パート)なので、合計8つのパート譜に書き込みを行わなくてはなりません。それなりに手間のかかる作業ですが、スコアとパート譜では楽譜の見え方が異なるので、スコアでは気がつかなかったフレージングを、パート譜への書き込み作業中に発見することもあったりします。
 

スコアへの書込(途中経過)