マイ・シャコンヌ
シャコンヌばかりを集めたCDというと、ムジカ・アンティクヮ・ケルンの名盤「Chaconne」やリナルド・アレッサンドリーニのソロ・アルバムなどが有名だが、自分でもシャコンヌやパッサカリアなど、バス・パートが同じ音型を繰り返すオスティナート系の曲を集めたプレイリストを作って楽しんでいる。
たとえばこんな感じ。
- リュリ(1632-1687、フランス)作曲音楽悲劇「ファエトン」よりシャコンヌ
マルク・ミンコフスキが指揮した全曲盤からフレンチなシャコンヌ。この演奏はフレンチ・ピッチだけどテンポが速く、イネガルを採用しているので軽快で快活な感じ。 - メールラ(1594/95-1665、イタリア)作曲「チャッコーナ」
イル・ジャルディーノ・アルモニコの代表的なアルバム「音楽の旅(Viaggio Musicale)」からイタリア風チャッコーナ。 - カルボンキ(17世紀前半、イタリア)作曲「チャッコーナ」
イタリアにおけるギター用チャッコーナの最盛期1640年に出版されたイタリア風チャッコーナ。プリヴァーテ・ムジケのアルバム「Meraviglia d’amore」では、マルコ・ビーズリーが歌うカプスベルガーの曲に続けてギターとリュートで演奏されます。このアルバムは名盤なのでいろんな人に聴いて欲しい。 - ファルコニエロ(1585/86-1656、イタリア)作曲「パッサカーレ」
17世紀ナポリの作曲家、アンドレア・ファルコニエロ(ファルコニエリ)のイタリア風パッサカリア。サヴァールとエスペリオンXXIのアルバム「オスティナート」から。 - ファルコニエロ作曲「チャコーナ」
同じくファルコニエロのイタリア風チャッコーナを、打楽器も加わるソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカの超軽快演奏で。 - パーセル(1659-1695、イギリス)作曲「グラウンドによる3声のシャコンヌ」
原題は「Three parts upon a ground」だけど聴いてみるとシャコンヌ。パーセルの作品はいつもながらに人懐っこい。フランスのアンサンブル、ストラディヴァリアによる演奏。 - リュリ作曲音楽悲劇「アマディス」よりシャコンヌ
カプリッチォ・ストラヴァガンテが弦楽器だけでしっとりと弾いているフランスのシャコンヌ。 - ベルターリ(1605-1669、イタリア)作曲「チャコーナ」
オーストリアで活躍したイタリア人、アントニオ・ベルターリ。レア・フルーツ・カウンシルのCDではソロをとるヴァイオリンが雄弁であるだけでなく、通奏低音でリュートやドゥルシアンも活躍するカラフルな演奏。 - ウッチェリーニ(1603-1680、イタリア)作曲「ラ・ベルガマスカによるアーリア」
これもイル・ジャルディーノ・アルモニコの「音楽の旅」から。自由奔放な2本のリコーダーが奏でる最高に楽しげなひととき。 - ラモー(1683-1764、フランス)作曲音楽悲劇「ダルダニュス」よりシャコンヌ
一転して18世紀フランス・バロックのシャコンヌ。イル・ジャルの後に聴くならニコラス・マギーガン指揮のフィルハーモニア・バロック・オーケストラのノーブルな演奏がよさそう。 - モンテヴェルディ(1567-1643、イタリア)作曲「ラウダーテ・ドミヌム」
同じ作曲家のチャッコーナ「ゼフィーロ・トルナ」が2本のヴァイオリンで差し挟まれるアッコルドーネの演奏。歌はもちろんマルコ・ビーズリー。 - パッヘルベル(1653-1706、ドイツ)作曲「カノン」
この曲はムジカ・アンティクヮ・ケルンの古い方の録音で聴きましょう。ただの「癒やし系ムード音楽」ではなく、ヴァイオリンの持つ様々な響きを駆使して作られている作品だということがよくわかります。 - パッヘルベル作曲「ジーグ」
ジーグはストラディヴァリアのアルバムから。少しフィドルっぽいテイストも感じられるナイスな演奏。 - リュリ作曲音楽悲劇「ファエトン」よりシャコンヌ
〆はムジカ・アンティクヮ・ケルンの「Chaconne」からリスト1曲目と同じ「ファエトン」のシャコンヌ。こちらはイネガルを採用せず、折り目正しき3拍子を刻む、格調の高い演奏。
フランス国立図書館が所蔵するマニュスクリプトを使っているせいか、ミンコフスキの演奏とは随所で音が違っているのが興味深いところ。
上記のリストを基に、YouTubeで聴くことのできる音源を集めた再生リストを作ってみました。必ずしも同じ演奏ではなく、欠けている曲もありますが、だいたいの雰囲気くらいは伝わるかも。
あと、いくつかのアルバムについてはレビューを書いています。こちらでどうぞ。
- 天下無敵の俺様CD - くにたちバロックアンサンブル
http://homepage2.nifty.com/shige-kun/kbe/cd_index01.htm
あんまり関係ないんですけど、マイケル・ジャクソンの「スリラー」もバッソ・オスティナートの技法を使ってる。ほらね。