バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 バーンスタインが指揮するベートーヴェン「弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131」(弦楽合奏版)

 「もし自分のレコーディングのうち一曲だけ後世に残すとしたら、この作品一三一を選ぶだろう」と語ったレナード・バーンスタイン(H.バートン 『バーンスタインの生涯. 下』 p.305)。「作品一三一」とは、ベートーヴェン弦楽四重奏のために作曲した「弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131」のことだ。1977年9月、バーンスタインは、このカルテットをウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽セクションと共にコンツェルトハウスで演奏し、録音・録画を行った。

 ちょうどこの頃、バーンスタインは家族との葛藤の時期にあり、また妻フェリシアの体調も思わしくなく、苦悩の中にあった。バートンの伝記には「映像に残されたバーンスタインの姿には悲しみと憤りがにじんでいる」と書かれているが、第1楽章の尋常ではない気迫からくる遅さやアタックに、それを聴き、また観ることができるように思う。
 ウィーン・フィルとの演奏には、ギリシャの指揮者ディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)によって編曲された楽譜が使われているということだ。ニューヨーク・フィルハーモニックのデジタル・アーカイブズには、バーンスタインの書き込みのあるスコアが2点収録されている。

 ヴィデオを観ると、指揮台の上にはポケットスコアではなく大判の指揮者用スコアが載っているので、もしかしたら、ふたつ目の楽譜を使っていたの「かも」しれない。
 この演奏の翌年、フェリシアは癌のためこの世を去った。バートンによる伝記には「この曲はフェリシアに捧げられた」と書かれている。
 

追記

 YouTubeで全曲のヴィデオを発見。バーンスタインによる解説ビデオもあり。