バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 マーク・サマーがチェロ1本で奏でるジミヘン「リトル・ウィング」の響き

 衝撃的なウィスペルウェイのリサイタル以来、チェロの作品をよく聴くようになった。特にこれ。

 ジミ・ヘンドリックスの原曲を知っていたわけではないのだが、マーク・サマーのしなやかで自由奔放なチェロは耳にも心にも心地よい。聴き手に語りかけるその響きの中には、ロラン・バルトが言うところの「音のきめ」が明らかに存在する。
 普段聴き慣れたチェロの響きに加え、ハイテンションで軋んだり歪んだりする音、弓がガチャっと弦にあたる「子音」の音、様々なピチカートの間にリズミカルに差し挟まれる指板を叩く音、ノイズを含めた全ての音が自然と身体に入ってくる。「きれいはきたない、きたないはきれい」。
 おや、福田恆存の訳はこの後ろに「さあ、飛んで行こう、霧のなか、汚れた空をかいくぐり」と続くんだ。なるほどな、「リトル・ウィング」の歌詞によく合ってるじゃないか。
 チェロ1本で奏でたこの作品は、「お空」の向こうへ突き抜けているかどうかは知らないけど、どうやらそっちの方を指さしているのは確からしい(笑