バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 テリー・ライリー「G Song」

 ミニマリストのテリー・ライリーに「G Song」という作品がある。いや、「爺さん、グー!」じゃなくて ジー・ソング」 だってばさ。

 この「G Song」は、ライリーがクロノス・クァルテットのために書いた初めての作品で、そのルーツは「Lifespan」(1974年)という映画のための音楽なのだそうだ。(→ Wikipedeia
 作品タイトルにある「爺」、いや「G」というのは、おそらく「G-minor ト短調」と関係があるのだろう。この曲では、ト短調の音階を含む冒頭16小節のテーマが何回も繰り返されるかの如くに進行する。ただし、繰り返されるたびに音楽は少しずつ変化してゆき、いつのまにかテーマ自体がどこかへ行ってしまったかのような「抜け殻」状態になる。
 おもしろいのはここからで、この「抜け殻」が一人歩きをし始めて、その色や形が刻々と変化してゆくのだよ。バロック音楽にも「シャコンヌ」「パッサカリア」「フォリア」など、オスティナート・バスの上に様々な変奏をドラマチックに重ねていく作品が数多くあるが、「G Song」では作品それ自体が「解体」されていくので超スリリング。
 バラバラになったあげくにどうなるかというと、最後にもう一度冒頭のテーマが戻ってくる(上掲YouTubeのビデオでは、残念ながら最後の1分くらいが欠落している)。つまり例の「アーチ構造」。ただし、そこにあるのはイッサーリスのフォーレ・アルバムのような「ふたつの時間がひとつに溶けあう」瞬間ではなく、「新しき再生」とでも言った方がいいようなことなのではないかな。
 「爺」からの再生?
 いやいや、それはちょっと違うと思うんだけどねぇ(笑