歌の道筋 - The Songlines
仕事の帰りに新宿のジュンク堂に寄り、職場で同僚が使うという法律英語辞典を買った。で、そのついでにブルース・チャトウィン著『ソングライン』(英治出版, 2009.02)を手に取ってみた。思っていたより分厚い本。「読み切れるかな」とも思ったが、思い切ってこちらも購入。もちろん自分用として。
オーストラリア全土に迷路のように延びる、目に見えない道筋“ソングライン”。それはドリームタイムと呼ばれる神話の時代に、この大陸を旅したアポリジニの先祖がたどった足跡である。先祖たちは、その道々で出くわしたあらゆるものの名前を歌いながら、それらすべてに命を与え、世界を創造していった。
-- ブルース・チャトウィン『ソングライン』 〜 訳者あとがき p.494 より
「もの」、「名前」、「命を与え(=存在)」。そこだけ拾うと、なんだかヴィトゲンシュタインみたいだ。
このところイギリスの音楽に接することが多かったのだが、ちょいと思い立って、アメリカやアフリカ、オーストラリアの弦楽のための作品をごちゃ混ぜにしたプレイリストを作った。その中に南アフリカの作曲家ケヴィン・ヴォランズ(Kevin Volans, 1949- )の弦楽四重奏曲「ホワイトマン・スリープス White Man Sleeps」を入れたついでに、彼の作品が入っているCDをいくつか聴き直している。
「ソングライン」というのは、ヴォランズ「弦楽四重奏曲第3番」のタイトルでもある。1988年の作品で、そこには欧米の作品からは絶対に聴くことのできない独特な風景と時間が存在する。「ホワイトマン・スリープス」と似たようなモチーフや手法を使っているところもあって、なんて言うんだろう、「お空」だけではなく大地とも繋がっていて、その両方から同時に世の中を見ているような感じがする、とでも言ったらいいのかな。って、なんだそれ。意味わかんねぇぞ。
とりあえず本も買ったし、当分はこれ。あとは「どうやって本を読む時間を作るか」ということなんだが、こんなろくでもないエントリーを書いている間に読めとか言われそう。
武満徹に「Dreamtime」という作品があり、邦題は「夢の時」となっている。とりあえず「Songline」を「歌の道筋」としてみたけど、違ってたらごめんな。で、チャトウィンはイギリスの作家だから、アフリカとオーストラリア経由で、ブーメランのように「イギリス」が舞い戻ってきたというオチ。