フィリップ・グラス「サティアグラハ」よたび
新宿のディスクユニオンに「サティアグラハ」のLPレコードがあるとわかったので買ってきた。LPレコードを買うなんて何年ぶりだろう。お目当ては歌詞付きの解説書。HMVでこの↓CDを注文したのだが、ブックレットはついてくるけど「歌詞・対訳は付いておりません。(ソニー)」だって。
LPの解説書には以下の3篇、および歌詞と対訳(いずれも英語、ドイツ語、フランス語)が掲載されていた。ばんざい。
- Satyagraha: Product of a Great Soul / Robert T. Jones
- Satyagraha: The Sense of Peace / Tim Page
- Notes on the Recording of Satyagraha / Michael Riesman
1. はオペラが扱っている内容の背景を説明するもの、2. は作品解説、3. はレコーディングについて。3. を書いているマイケル・リースマンはグラスの録音でよく見る名前だが、この録音ではプロデューサー、ミキサー、それから演奏者としては鍵盤楽器および補助指揮者として参加している。
リースマンの解説でおもしろいのは、このレコーディングが、クラシックの大作では初めて「オーバーダビング」の手法を用いた、とあることだ。
This recording of Satyagraha is the first production to employ overdubbing on a huge scale for a work which is essentially "classical" in instrumentation and execution.
グラスの作品は小さな断片を数多く繰り返すので、演奏には極度の集中力や正確さなどが求められる。それをオペラという大編成の作品において実現するための方策ということらしい。
3M社の32トラック・デジタルレコーダーを使い、まず演奏のためのガイド・トラック(オーケストラ・パートを鍵盤楽器で演奏したトラック、メトロノーム、重要な小節番号を知らせるキュー・トラック)を録音。鍵盤楽器とメトロノームのトラックにはコンピューターが使われたようだ。そしてオペラ全曲を弦楽器、木管楽器(このオペラには金管・打楽器は含まれていない)、合唱、最後にソリストという順番で録音。鍵盤楽器によるガイド・トラックを破棄して、スコアに書かれているオリジナルのオルガン/シンセサイザー・パートに入れ替え。最後に、オーケストレーションを豊かにするため、作曲者了解の下、部分的にシンセを加えたんだと。うはっ!