バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ウィリアム・ボルコム「グレイスフル・ゴースト」

 もしも時間があって「アメリカのピアノ曲なんかも聴いちゃおうかなぁ」なんて思うときには、ウィリアム・ボルコム(William Bolcom, 1938- )の「グレイスフル・ゴースト Graceful Ghost Rag」なんかどうだろう。

 このビデオでピアノを弾いているのは、ニューヨーク・フィルのピアニストも務めていたポール・ジェイコブス(Paul Jacobs, 1930-1983)。この「グレイスフル・ゴースト」は「ポルターガイスト The Poltergeist」「ドリーム・シャドウズ Dream Shadows」と合わせて「3つのゴースト・ラグ」というセットになっている。いずれも1970年から1971年の作品。ちなみに、YouTubeには別のピアニストが弾いた「ポルターガイスト」もあった。この作品では途中にトーン・クラスターもでてくるなど、現代音楽の風味を忘れてないところがおしゃれ。

 Wikipediaを読んで、ボルコムがミヨーだけでなく、パリのコンセルヴァトワールメシアンにも師事していたことを知る。そうだったのか、へぇ。昔買った楽譜を見て、「どの作品もちゃんと書かれていて、譜面だけ追っているとラグの感じが出ないし、雰囲気優先でちゃらちゃらと弾けるような内容でもないな」とあらためて思った。
 ちなみに、ジェイコブスは「グレイスフル・ゴースト」の16分音符を、リズム・イネガル(笑)、いやブルースっぽく3連符で弾いている。作曲者の自作自演ではそんなことしてないから、大胆といえばそうかもしれないけど、グレイスフルな雰囲気はよく出ているのではないか。
 最後にもうひとつ、ちょいと切ない「ロスト・レディ・ラグ Lost Lady Rag」。世の中、ラグタイムでないと表現できない世界というのがあるんじゃないかと思う。