バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 バッハとともによい年を

 2011年は本当にたいへんな年であったな。こんなブログで「震災関連」なんていうカテゴリーを設けることになるとは思わなかった。

 私なんかが想像するよりはるかにたくさんの方々が、それぞれに気持ちの整理や区切りをつけようとしておられるに違いない。そう思うと、これから鳴るであろう除夜の鐘の音も、例年と同じようには聞けないような気がする。
 冒頭に埋め込んだYouTubeのビデオは、パーシー・グレインジャーが「アレンジ」したJ.S.バッハの「羊は柔らかに草を食み」。カンタータ第208番「楽しき狩こそわが悦び BVW208」、いわゆる「狩りのカンタータ」に含まれる有名なアリアである。原曲ではリコーダー2本のオブリガートが、ヴァイセンフェルス公クリスティアンの統治の下で穏やかに暮らす民を、草を食む羊になぞらえて表現している。グレインジャーはこの心安らかな作品を、これ以上ないほどダイナミックなオーケストレーションによって、まさにドラマティックな曲に変えてしまった。なんだかその変貌の様子が、今年一年の移り変わりを映しているようで泣ける。せめて大晦日の夜は、このアレンジの最後にでてくるハープのアルペジオのように、そしてバッハの原曲が意図した内容のように、ひとりでも多くの方が穏やかな気持ちで過ごしていただけるとよいのだけれど。
 来年は、誰もが「明日を生きる希望」を持てる年になるといいよな。ほんとうに。