アメリカ音楽撰集(ピアノ作品いろいろ編)
アメリカのピアノ曲を集めたプレイリスト。ウィリアム・ボルコムのラグをちりばめて、その間を自動ピアノ、内部奏法、プリペアード・ピアノの作品なんかで繋いでみた。トイ・ピアノのための作品を集めたマーガレット・レン・タンのCDが、どっか行っちゃって見つからなかったのは残念だったな。
- C.ナンカロウ(1912-1997)「自動ピアノのためのスタディ 3c」
ナンカロウは、人間では演奏することが不可能なリズムを実現するため、自動ピアノのための作品を作り続けた。その中からジャズの香り高い初期の名作。
→ 関連エントリー - W.ボルコム(1938- )「ナイト・ヒューバート」 (ピアノ:ジョン・マーフィー)
ラグタイム・ピアニストの第一人者ユービー・ブレイク(James Hubert Blake, 1887-1983)のスタイルを呼び覚ます。 - H.カウエル(1897-1965)「エオリアン・ハープ」(ピアノ:アラン・ファインバーグ)
ピアノの内部奏法を使った1923年の佳作。鍵盤を押さえていたところだけ音が残る。こういう作品なら平均律ではない調律の方がよさそう。 - J.アダムス(1947- )「チャイナ・ゲイツ」 (ピアノ:アラン・ファインバーグ)
ミニマルの作風を色濃く出していた初期(1977年)の名作。連続する8分音符は降り続く雨を表現している。 - W.ボルコム「グレイスフル・ゴースト」 (ピアノ:ポール・ジェイコブス)
亡くなった父の思い出に捧げられた作品。「3つのゴースト・ラグ」と名付けられたセットの第1曲。
→ 関連エントリー - A.コープランド(1900-1990)「4つのピアノ・ブルース」より第1曲 (ピアノ:ポール・ジェイコブス)
アメリカ音楽界の大御所コープランドのピアノ作品から。
→ 関連エントリー - P.グラス「“トリロジー”ソナタ」より「サティアグラハ」 (ピアノ:ポール・バーンズ)
「“トリロジー”ソナタ」は「海辺のアインシュタイン」「サティアグラハ」「アクナーテン」という3つのオペラ作品から3つの場面を選びピアノ独奏用にアレンジしたもの。
→ 関連エントリー - G.ガーシュウィン(1898-1937)「フー・ケアーズ?」 (ピアノ:リチャード・ロドニー・ベネット)
「ガーシュウィン・ソングブック」に含まれる1曲で、原曲は1931年に上演されたミュージカル「君がために歌わん」のために作曲された。
→ 関連エントリー - W.ボルコム「ポルターガイスト」 (ピアノ:ポール・ジェイコブス)
「3つのゴースト・ラグ」の第2曲。途中でトーン・クラスターが炸裂してびっくり!
→ 関連エントリー - J.ケージ(1912-1992)「バッカナール」 (プリペアード・ピアノ:アラン・ファインバーグ)
もともと打楽器のために構想された舞踏音楽。スペースの関係で打楽器を設置できなかったため、ピアノの弦にボルトや洗濯ばさみ、ゴムなどを挟み込んだりして打楽器的な効果を狙った。このような細工を施した「プリペアード・ピアノ」のための最初の作品。 - W.ボルコム「ロスト・レディ・ラグ」 (ピアノ:ジョン・マーフィー)
作曲者自身の解説には「a lament for a failed marriage」とある。
→ 関連エントリー - G.ガーシュウィン「アイ・ガット・リズム変奏曲」 (ピアノ:ジェフリー・シーゲル、レナード・スラットキン指揮セントルイス交響楽団)
ペンタトーンでできているメロディーの特徴を活かしたピアノとオーケストラのための作品。
→ 関連エントリー - C.ナンカロウ「自動ピアノのためのスタディ 3c」 (インゴ・メッツマッヒャー指揮アンサンブル・モデルン)
プレイリスト1曲目の「3c」を作曲者の指示に基づいてオーケストレーションしたバージョンで。ジャズっぽいゴキゲンな雰囲気がナンカロウのルーツを色濃く示す。
→ 関連エントリー - W.ボルコム「ドリーム・シャドウズ」 (ピアノ:ポール・ジェイコブス)
「3つのゴースト・ラグ」の第3曲。セットの中で最も幻想的な作品。夢の中に誘われるような、そんな感じかな。
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