バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 譚盾「紙の協奏曲 Paper Concerto」

 ちと予定変更、タン・ドゥン作曲「紙の協奏曲」。YouTubeにアップされてたこの動画にやられて、つい衝動的にDVDを買ってしまった。

 短冊状に切った紙を棒に巻き付けて、祓い串みたいにしたものを両手に持ち、踊りながらリズムをとる。最初にメロディーを奏でるのは、客席の中に配置されたヴァイオリンたちだ。YouTubeのビデオだとよくわからないかもしれないけど、オーケストラも譜面台の上にのせたパート譜を、わざと音がするようにバタバタさせて同じリズムを刻んでいる。コンサート会場にいたら、紙の音が目と耳から聴こえてくるんじゃないか。まさに「ペーパー・パーカッション」。
 この作品の主人公は言うまでもなく「紙」だ。硬い紙、薄い紙、紙でできた箱やおもちゃ、果ては扇子、傘まで使われ、それらが打ち鳴らされ、こすられ、破られ、振り回されたりして出る様々な音が、西欧のオーケストラとともに、コンサートホールという特別な空間の中で、立体的な音響の世界を形作る。

 タン・ドゥンの音楽は、つねに彼が幼い頃に体験したものがベースになっている。祖母に教えられた紙を用いた遊び、そしてシャーマンの紙を使った儀式。
 -- DVD日本語解説書より

 なんか、ガキの頃に茶碗を箸でチャンチキ叩いて、とーちゃん&かーちゃんに怒られたのを思い出した。人生の原点回帰。記憶の中にある、あるいは日常的に身の回りにある普段着の音が音楽作品に結実する。それも身体的な動作を伴って。これほど「音のきめ」にあふれた作品というのもめずらしいんじゃないかな。なんてステキな音楽なんだろう!