バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ドビュッシー「月の光」(ストコフスキー編曲)

 ディズニーの映画「ファンタジア Fantasia」。先進的な音響技術を取り入れ1940年に公開されたオムニバス音楽映画で、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」やストラヴィンスキー春の祭典」など8曲が、想像力豊かなアニメーションで表現されている。ミッキー・マウスが「魔法使いの弟子」を演じている有名なアレもその中のひとつだ。この映画の内容については、Wikipediaの解説が詳しい。

 演奏を担当しているのは、レオポルド・ストコフスキー(Leopold Stokowski, 1882-1977)とフィラデルフィア管弦楽団ストコフスキーと言えば往年の大指揮者で、J.S.バッハのオルガン曲などをオーケストラ用に編曲していることでも有名だ。もっとも、そのうちのいくつかは、編曲の内容を指示しただけということのようであるが。
 2012年は、クロード・ドビュッシーClaude Debussy, 1862-1918)の生誕150周年という記念の年でもある。ストコフスキーディスコグラフィーを見ると、ドビュッシーの項に、彼のオーケストレーションによるピアノ作品が3曲掲載されている。「《版画》からグラナダの夕べ」、「《前奏曲第1巻》から沈める寺」、そして「《ベルガマスク組曲》から月の光」である。

 映画「ファンタジア」にはこの「月の光」も収録される予定で、ストコフスキーフィラデルフィア管弦楽団による録音が行われ、アニメーションも製作されたようだが「編集段階でカットされた」という。
 ところが、これがとてつもなく素晴らしい。暗闇の中にある沼地を、月明かりをうけてまばゆく光る白サギがゆるりと弧を描きながら飛んでいたり、白サギの身にまとわりついていた月の光が水面にこぼれたり、水の上に映った月の輝きが揺らめいていたり。ストコフスキーオーケストレーションとともに描き出されるその光景は、一度見たら忘れられないほど幻想的だ。だまされたと思って、このビデオを観てごらんよ。そこにあるのは、「月の光」から広がってゆく新しい世界。