バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ヘレンダール「グランド・コンチェルト 作品3」の手書きスコアを発見

 「いずみ春の祭典」も間近に迫ってきて、くにバロの練習も明日と、演奏会当日(2012年3月4日)の直前を残すのみとなった。ヘレンダール(Pieter Hellendaal, 1721-1799)のスコアとパート譜をさらい直している最中に、「IMSLP」で作品3のスコアとパート譜を発見。なんだこれわ?スコアは手稿譜で、パート譜は1758年の印刷譜と書いてある。

 このページの「画像読込者」というところから辿っていってわかったことだが、ここにあるスコアとパート譜スウェーデンの「Utile Dulci」という18世紀の文学サークルが収集したもので、現在はスウェーデン音楽・演劇図書館が所蔵しているようだ。

 「Utile Dulci Database」でのヘレンダールのページはここ。

 手書きのスコアの第1ページ、つまり今練習している第1番ト短調の冒頭部分を見ると、ちゃんと「Utile Dulci」のリラのマークが押されている。ふむふむ。
  ヘレンダール「合奏協奏曲作品3」手稿譜第1ページ
 ざっとスコアに目を通してみたが、丁寧に作成された浄書譜だな、これは。細かい16分音符や32分音符もきれいに書かれており、大変読みやすい。一体、誰がどこでどのようにして作ったものなのだろう?
 印刷されたパート譜と比較してみたところ、第1番第3楽章90小節以降にある「Organo」パートの誤り(臨時記号と強弱記号の位置)が、そのままスコアに写されていた。この一例を以て断言することはできないけど、もしかしたらこの楽譜は既存の別のスコアを写譜したものではなく、パート譜から再現されたものかもしれない。まぁ、このような誤りまで正確に再現されているわけだから、ある意味、とても注意深く作成されたスコアであると言えなくはないか。
 ちなみに、同じコレクションにあるチャールズ・エイヴィソン(Charles Avison, 1709-770)の手書きスコアを見たらヘレンダールのスコアとよく似た筆跡だった。他にどういう事例があるのか、ちょっと気になるところ。