バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ピアノ雑感

 ジョン・アイアランドのオルガン曲集を入手したので、アイアランドだけのプレイリストについて書こうと思っていたのだけれど予定変更。最近、いろいろな方に映画「ピアノマニア」をお薦め頂くのだが、まだ観に行く機会に恵まれていない。申し訳なし。

 映画の中にも出てくるのだろうけど、ピアノのメンテナンスには「調律」のほかに「整調」「整音」という調整作業がある。調律は音程の調整だが、メカニックな部分の調整とか、弦を打つハンマーの調整とかで、ピアノの音というのは随分変わるものだ。最高に善く調整されたピアノは、楽器の方から最善の弾き方を教えてくれると言われるらしいが、それは確かにその通りだったな。ガタがきてる楽器は、どうしても打鍵の際に無駄な力が入るけど、しっかりと調整された楽器はピアニストの無駄な力を抜いてくれる。
 話はそれるけど、ブリュッヘンのエントリーに埋め込んだモーツァルトのピアノ協奏曲では、アンドレアス・シュタイアーがソロ・パートだけではなく通奏低音のパートも弾いている。オーケストラだけの前奏などで、モダン・ピアノの和音がポロン・ポロンと鳴っているのはどうも馴染めない。フリューゲルだと気にならないのだけれど。モダン・ピアノでは、オーケストラのサウンドの中からピアノの音が妙に浮き上がってしまい違和感ありまくり。ピアノだけ平均律だからなのかな。知らないけど。
 少し前までバロックの作品をモダン・ピアノで弾くのが「時代遅れ」みたいに言われていたが、最近、そういうヘンな呪縛が少しずつ解けてきているようだ。その中でもアレキサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)がカナダのレ・ヴィオロン・デュ・ロワ(Les Violons du Roy)と演奏したJ.S.バッハのクラフィーア協奏曲のプロモーション・ビデオはなかなか興味深い内容だと思った。

 レ・ヴィオロン・デュ・ロワはバロック期の作品をいわゆる「ピリオド奏法」で演奏する。このビデオを観るとオケとモダン・ピアノがバランスよく絡み合い、無理なくバッハの音楽を創り出しているのがよくわかる。特にソロ・ピアノが「p」になったときのアンサンブルは、ソロも伴奏もなく、全てのパートがひとつの音楽を目指しているのが感じられてなかなかよろしい。ノン・ヴィブラートの弦楽合奏と合わせるためのピアノの調整というのは、ソロ・コンサート用の調整とは違うのだろうか。どうなんだろうね。