バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 Geat Animal Orchestral

 日本人は虫の音を左脳で聴き、西洋人は右脳で聴く、と言われている。左脳は「言語脳」なので、日本人は虫の音が耳に入ってくると、言葉と同じように処理されるから雑音として無視できないらしい。
 WIRED.jpに「サウンドスケープ:音による自然学」という記事が掲載されていた。サウンドスケープ(soundscape)というのは「音の風景」、カナダの作曲家マリー・シェーファー(Raymond Murray Schafer, 1933- )が提唱した概念だ。→ Wikipedeia

 記事は、生体音響学者バーニー・クラウス(Bernie Krause, 1938- )の新著『The Great Animal Orchestra: Finding the Origins of Music in the World’s Wild Places』を紹介するもので、その内容に関連する音声を聴くことができる。
 中でも、記事の3ページ目に掲載されている「中央アフリカ共和国にあるザンガ・サンガ密林保護区に住むピグミー(バベンゼレ族)の音声」は超絶美しいと思った。音の向こうに風景が見える、とかそういうことはもちろんあるのだが、それ以上に音自体がたいへん美しく、音楽の構成にも似た、ある種の「展開」が感じられるような点に興味を惹かれる。
 人の心を打つものというのは、こうやって身の回りにいくらでもあるのではないか。それは、活字や楽譜にはならず、自分で気がつくしかないようなもの。そして、それが音楽芸術という形に昇華すると、タン・ドゥンの「紙の協奏曲」のようになっていったりするだろうな、たぶん。