ジェラルド・フィンジ「花輪を捧げよう」
今年の桜は思いの外ふくよかで、穏やかな表情をしているように思う。寒い時期が長かったにもかかわらず、いじけた感じがなく、心の底から春になったことを喜んでいるようだ。
ジョン・アイアランドのプレイリストを作る際に、イギリスの作曲家によるオーケストラ歌曲のCDがあるのを思い出した。歌っているのはスティーヴン・ヴァーコーで、伴奏はリチャード・ヒコックス指揮のシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアという鉄板コンビ。
- If There Were Dreams To Sell - English Orchestral Songs - Chandos Records
もちろん、その中にはアイアランドの歌曲も入っているんだけど、シェークスピアの詩によるフィンジの「花輪を捧げよう Let us garlands bring Op.18」がとてもよかった。CDの解説書によると、この作品は1942年10月12日のピアノ伴奏版による初演の後、12月にはBBCから弦楽合奏版として放送されたらしい。
「花輪を捧げよう」の5曲目「恋する男とその恋人」は「お気に召すまま」の劇中歌をもとに作られており、「Sweet lovers love the spring」という歌詞をもつ軽快な作品。フィンジらしい弦楽の響きの中に、あふれんばかりの優しく柔らかな眼差しを感じずにはおられない。どんなに気持ちが荒んでいても、これを聴けば誰もがニコニコしちゃうと思うぞ。キラキラしていて、今を生きる幸せと、明日を生きる希望に満ちあふれてる。こんな曲にお目にかかることなんてめったにないな。
今日は中央線が止まって大変だったけど、桜とフィンジのおかげでよい一日となった。ありがと。
- ANDREW ASHWIN - Gerald Finzi: Let us Garlands Bring - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=eFENtLK-VZ8