バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ヨー・ヨー・マが奏でるフィンジ「チェロ協奏曲」

 初めてジェラルド・フィンジ(Gerald Raphael Finzi, 1901-1956)の作品を聴いたのが正確にいつだったか覚えていないが、どの作品の誰の演奏だったかは覚えてる。

 これはヨー・ヨー・マのデビュー盤なのだそうだ。イギリスの「Lyrita」というレーベルからLP時代に出ていた録音で、なかなかCDにならなかった。何年か前にやっと出たと思ったら、不安定なCD-Rでの発売というアナウンスがあったりしてその時は随分とがっかりした。タワー・レコードあたりで、普通のCDとして発売してもらえるとよいのだけれど。
 YouTubeで見つけて数十年ぶりに聴いてみて、イギリスの音楽を好きになったのはヘンデルやパリーのおかげではなく、この演奏に出会っていたからかもしれないと思った。きっと「聴き手を一心に見つめる眼」に魅入られたに違いない。
 ヨー・ヨー・マの演奏は他の演奏より「重い」。それは作品の眼差しが聴き手を見つめると共に、自分の内面をも見つめ返しているからだろう。内面を見つめているときには、聴き手は置いてけぼりをくらう。聴き手が手を差し伸べてもどこか届かないような、そんな感じが「重さ」に繋がっているのではないかな。
 今日は、この演奏を聴きながら眠ることにしよう。明日も仕事だしな。