バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 エルガー「交響曲第2番」 - その2

 テルデックやエラートを傘下に持つワーナー・ミュージックの音源が聴けるようになったというので、生まれ変わった気持ちになって、定額制のオンライン音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」(NML)に登録してみた。やはり、6万枚以上のCDが聴き放題という威力はハンパではない。もう何時間も聴きまくっている。
 最初に、クリオ・グールド(Clio Gould)がロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団を指揮した「イギリス弦楽名曲集 2」というのを聴いてみた。ヴォーン=ウィリアムズ、ウォーロック、ディーリアスらの弦楽の響きがずば抜けて安定しているので驚いた。クリオさんはヴァイオリニストで、2002年に、女性としてはじめてロンドンのオーケストラ(ロイヤル・フィル)のリーダーになった人なのだそうだ(→ Wikipedia)。ということは、彼女は指揮台からではなく、コンミスの位置から指揮をしているのかな。納得。
 
English String Classics 2
 NMLにはシャンドス・レコードのタイトルも入っていて、ブライデン・トムソン(Bryden Thomson, 1928-1991)が指揮したエルガー交響曲を2曲とも聴くことができる。あ〜、こんなことならアマゾン経由で発注するんじゃなかった。
 
Symphony 1 / Sanguine Fan / Froissart Overture
 先日、久しぶりに新日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演を聴きに行った。お目当ては、ダニエル・ハーディング(Daniel Harding, 1975- )が指揮するエルガーの第2交響曲。両翼配置のセカンド・ヴァイオリンの真ん前といういささか妙な位置で聴いたので、オーケストラの中で何が起こっているかはよくわかったが、演奏自体がどんなもんだったのかというのは正直言ってよくわからなかった。
 ただ、エルガーの第2交響曲が、万人が聴くべきものを持った、素晴らしい作品であることは疑いの余地がないと思った。エルガーの美質は、クライマックスやそこへ向かう「盛り上げ」にあるのではなく、クライマックスを過ぎたところにある。最終楽章のコーダに見えてくるのは、過去の様々なできごとを振り返りつつも、顔を上げ、前を向いて進んでいこうとする人間の静かな姿なのではないか。
 NMLで聴いたブライデン・トムソンの演奏は気品にあふれていた。ひとつひとつの動機をきちっと積み重ねていくので、ゆったりしたテンポを採用しているにもかかわらず「だれる」ことがないのはさすがだ。最終楽章のコーダはスケールが大きく、どこまでも気高い。作曲者エルガーは「本当の音楽は、ここから始まる」と語ったらしいけど、彼らには進むべき未来が見えていたんだろうな。きっと。