バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲の自作自演

 イーゴル・ストラヴィンスキーIgor Stravinsky、1882-1971)の、指揮者としての最高の仕事を発見。1965年にロンドンのロイヤル・フェスティバルホールでニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮した1945年版の「火の鳥組曲

 こちらの解説Internet Archiveキャッシュ)によると、この演奏はストラヴィンスキー生涯最後の指揮姿なのだそうだ。すでに80歳を過ぎているが、作曲者が指揮する演奏は思いの外エネルギッシュで、かつ予想外ではあるが、素晴らしくニュアンスに富んでいる。
 指揮棒も持たず、クリンクリンと手を動かすだけでよくこんなことができるなとも思うかもしれないが、自分の作品だけあって押さえるべきツボをきちんと押さえている。オーケストラとの信頼関係も抜群だし、なによりも演奏者に投げかける指揮や顔の表情が豊かだ。基本となる動きは小さいが、伝えるべきものが的確にその中に含まれている。特に、終曲の29分あたりからは凄すぎる。金管のコラールに入ったとたん、和音のひとつひとつにニュアンスをつけるなんて!聴衆がブラボーを叫ぶのも当然だ。
 ストラヴィンスキーの自作自演というと、コロムビア・レコードに録音したステレオ録音が有名だ。ロバート・クラフトがつきっきりでリハーサルを行い、即物的で、ある意味「無愛想」であることが優れた特徴であるかのように言われてきた。
Conducts Stravinsky
 しかし、この最後の指揮は違う。力強く表情豊な演奏。すごいぞ、爺さん!