バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ブルームーンに聴く弦楽の響き

 職場の調べ物で中野の図書館に行こうと、いつもとは違う南口からの道を歩いた。坂を上がって少し行くと空が広がり月が出ている。今日の月は「ブルームーン」というのだそうだ。山吹色に光輝く、8月としては2度目の満月。あれ、今月は山吹色に縁があるのかな?
 最近出会ったいくつかの音楽を並べて聴いてみたら、わりといい感じにまとまることに気付いた。今回はたった6曲だけれど、これまでに作ったプレイリストの中でも上出来の部類だと思う。

  1. H.M.グレツキ(1933-2010) 「3つの古い様式の小品」
    グレツキの作品は耳あたりが良いのだけれど、ポーランドの重い歴史を背負っている。音楽は時間とその作品が鳴り響く空間を創る。

    Gorecki;Symphony No.3
  2. A.ベルターリ(1605-1669) 「Prothimia Suavissima - Sonata III」
    ゲオルク・ムファットがウィーンを訪れるよりも少し前に宮廷楽長を務めていたベルターリ。この作品の美しさはどこからくるのだろう。
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    Prothimia Suavissima (Dig)
  3. R.ヴォーン=ウィリアムズ(1872-1958) 「揚げひばり」
    ここでは他のどれでもなく、リチャード・トネッティがソロを弾いたオーストラリア室内管弦楽団の演奏がいい。広くて開放的な空を思わせる純朴で直線的な響きが大変よろしい。イギリスっぽいかどうかはともかく(笑。

    Musical Renegades
  4. 呉祖強(ウー・ズーチャン、1927- ) 「二泉映月」
    中国の国民的な音楽家・阿炳(アー・ピン、1893-1950)が二胡のために作曲した「二泉映月」を弦楽合奏用に編曲したもの。水面に映る月。不思議なことに、トネッティのヴォーン=ウィリアムズの後にピタリとはまる。
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    ブラームス:交響曲第1番
  5. 黛敏郎(1929-1997) 「BUNRAKU」
    大原美術館の創立30周年を記念する演奏会で初演された無伴奏チェロのための作品。「二泉映月」の最後の音と同じ音のピツィカートで曲が始まる。
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    現代チェロ作品集
  6. V.マルティノフ(1946- ) 「The Beatitudes」
    謙虚の祈り。
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    Music of Vladimir Martynov

 “ウォークマン”流の「流し聞き」でも、スピーカーの前で真剣に聴いても、どちらでも楽しめると思う。きっと心の中に、ブルームーンのように輝く光が産まれてくることだろう。
 廃盤となってしまったCDもあるから、この通りにそろえるのは難しいかもしれないけれど、「この演奏でなくちゃ」というところがあるから、興味のある方はがんばってそろえてみてはどうかな。ちなみに、YouTubeにあった音源では同じようなイメージには全然ならなかったぞ。

 で、調べ物で足を運んだ図書館なんだが、明るく輝く満月の下で扉を閉めて真っ暗。月末の休館日だったとさ。ぎゃふん!