音楽のある展覧会「ウィーンに残る、日本とヨーロッパ450年の足跡」 ウィーン楽友協会アルヒーフ資料展
サントリーホールで開催中の展覧会が10月11日(木曜日)だけ20時まで開館しているというので観てきた。
- 音楽のある展覧会「ウィーンに残る、日本とヨーロッパ450年の足跡」 −ウィーン楽友協会創立200周年記念−
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/sponsor/2012/121006.html
→ 魚拓のキャッシュ
会場に到着すると、ちょうど楽友協会アルヒーフ室長のオットー・ビーバ博士の講演「ウィーン楽友協会のとっておきの歴史」が始まったところだった。アルヒーフに残された記録などとからめながら、楽友協会200の歴史(Geschichte)に残された数々の逸話(Geschichten)が紹介されていた。
展示は書籍や楽譜のほか、銅版画や日本の錦絵などの図像資料も多く、なかなか興味深いものであったよ。特に、楊洲周延(ようしゅう・ちかのぶ、1838(天保9)-1912)が明治20年代に洋楽の場面を描いた錦絵を間近で見ることができてよかった。展示されていた錦絵は総じて状態が良く、たとえば「欧州管絃楽合奏之図」などは以前にガスミュージアムで見たのと同じくらいか、それ以上に細かいところまで穏やかで美しい色味を放っていた。
参考画像:楊洲周延「欧州管絃楽合奏之図」(1889年)
Source: austrianculture.jp via Toru on Pinterest
この錦絵は19世紀末の楽器や奏法について、興味深い情報を含んでいる。たとえば、チェロにはエンドピンがついていないとか、ヴァイオリン(とヴィオラ?)の奏法がヨゼフ・ヨアヒム(Joseph Joachim、1831-1907)流で肘を身体に付けたままにしているとか、顎当てを付けずに楽器の右側を肩に載せてるとか。
そのとなりにあった「踏舞会上野桜花観遊ノ図」は、「欧州管絃楽合奏之図」の2年前(1887年)に描かれたもので、中央の女性が展覧会のちらしにも使われている。
参考画像:楊洲周延「踏舞会 上野桜花観遊ノ図」(1887年)
Source: geocities.jp via Toru on Pinterest
で、この女性が持っている楽器が何なのか、というのが謎。図録の解説では「チェロ」となっているが、「欧州管絃楽合奏之図」と見比べてみると、その「なで肩」の形状はコントラバスに近くエンドピンも付いている。しかし、大きさからいくとチェロやコントラバスではない。かといってヴァイオリンやヴィオラでもなく、エンドピンがついていることから床などに「置いて」弾く楽器なのだろう。「縮尺を間違えたコントラバス?」とも思うのだが、この時代の日本でこのような身なりでのご婦人がコントラバスを弾くことってあったのだろうか?う〜む。。。