バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 スロヴァキア室内管弦楽団が演奏するヘレンダール「グランド・コンチェルト 作品3」

 スロヴァキア室内管弦楽団は英語だと「Slovak Chamber Orchestra」だけど、スロヴァキア語だと「Slovenský komorný orchester」と綴るらしい。スロヴァキア・フィルのコンサートマスター、ボフダン・ヴァルハル(Bohdan Warchal, 1930-2000)によって1960年に設立されたこの合奏団の演奏は、ピーター・ヘレンダール(Pieter Hellendaal, 1721-1799)の「グランド・コンチェルト」で見事なアンサンブルを聴かせる。YouTubeで聴いて以来CDを探していたのだが、やっと手に入れることができた。

   Pieter Hellendaal - Six grand concertos op.3 (2CD)
 1989年の録音にもかかわらず、バロック期の作品を一昔前のスタイルで弾き切っているのは、ある意味すごいと思う。いや、別に皮肉でもなんでもなく、信念に忠実であるということは大事なことなんだよ。合奏のシステムは確かだし、この燃焼度の高さは一体なんなんだ(笑。そして、スロヴァキアの団体がよくもまあヘレンダールの作品3を全曲録音したものだ、とあらためて感心する。
 「古楽」というものがブームになってから、モダン・オーケストラはバロック音楽から遠ざかってしまった。では、古楽合奏団がコレッリヘンデルジェミニアーニらの合奏協奏曲をのべつ幕無しに演奏するようになったか、毎月どこかで「合奏協奏曲作品6」の連続演奏会が行われているかというと、そうはなっていない。そんな中にあって、メジャーとは言えないレパートリーをしっかりしたアンサンブルで演奏しているスロヴァキア室内管弦楽団のCDは充分に貴重なものと言えるのではないか。
 音楽の進むべき方向なんてひとつではない。「新しい」「古い」といった形容詞の中に「演奏スタイル」の優劣があるわけではなかろう。前にも書いたけど、作曲家は「演奏スタイル」というファッションのために曲を書いたのではない。どんなスタイルであろうと、それを全うしているならそこには必ず聴くべきものがあると思うぞ。オージーな雲雀みたいに。