バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 O.ビルケランが弾くフランク・ブリッジのチェロのための小品いろいろ



 NMLでベンジャミン・ブリテンのチェロ作品を漁っていたら、ブリテンの「チェロ・ソナタ」と共に、彼の師であるフランク・ブリッジ(Frank Bridge, 1879-1941)のチェロ作品を収録しているアルバムというのがあった。チェロを弾いているのはノルウェーチェリスト、オイスタイン・ビルケラン(Øystein Birkeland, 1962- )。ジャケットは思いっきり「???」だったが、聴いてみたらけっこう良かった。
Sonatas for
 ブリテンとブリッジという二人の「B」による「チェロ・ソナタ」はもちろんだが、ブリッジが「チェロ・ソナタ」(1917年完成)以前に作曲したチェロとピアノのための小品に惹かれた。どれもサロン風の小品と言ってしまえばそれまでだが、作品のひとつひとつに彫り込んでいる「表情」の違いがおもしろい。作品の発する「声」はひとつなのに。たとえば、ヴァイオリンとピアノのために作曲された「4 Short Pieces, for violin, piano (H.104, 1912)」の第1、2曲目をチェロに移したものとか。

 2曲目の「Spring Song」はイッサーリスのアルバム「子供のチェロ」に入っているやつだ。イッサーリスのアプローチはより叙情的なので、少し違う曲のようにも聴こえるけれど。
Children's Cello
 「Cradle Song, for violin (or 'cello) and piano (H.96, 1910)」は1910年の作品。少しフォーレっぽい感じもするこの曲は、チェロで聴くとゆったりと動く揺り籠に揺られているようだ。

 翌1911年の「Mélodie, for violin (or 'cello) and piano (H.99, 1911)」もフランスの風が駆け抜ける。

 このディスクには、ほかにも4曲の小品が収録されている。どれも品が良く、チェロによって奏でられるとチャーミングな感じが増す作品ばかり。作品の情報はこちらのサイトから。

  • Serenade, for violin/cello, piano (H.26, 1903)
  • Berceuse, for violin/cello, piano (H.8/9, 1901)
  • Scherzo, for cello, piano (c 1902)
  • Elégie, for cello, piano (H.47, 1904)

 このうち「Serenade」「Berceuse」については、オーケストラ・ヴァージョンもあるようだ。「Serenade」の中間部にマイケル・ジャクソンっぽいところが出てくるのが微笑ましい。

 CDの解説書によると、1970年代までブリッジの作品というのは、母国イギリスにおいてもいくつかのものを除いてあまり演奏される機会がなかったらしい。ロストロポーヴィチブリテンの録音がある「チェロ・ソナタ」は例外的によく知られた作品ということになるのだろう。
ブリテン:無伴奏チェロ組曲集
 どこかにCDがあるはずだから、今度探して聴いてみよう。