バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ブラームス「セレナーデ第2番」いろいろ

 ヨハネス・ブラームスJohannes Brahms, 1833-1897)が20代半ばの1850年代後半に作曲した2曲の「セレナーデ」を古楽器オーケストラで演奏したCDが出たというので早速聴いてみた。ニコラス・マッギガン(Nicholas McGegan, 1950- )が指揮するフィルハーモニア・バロック・オーケストラ(Philharmonia Baroque Orchestra)の演奏。
ブラームス:セレナード 第1番&第2番
 多楽章形式のセレナーデというとモーツァルトの作品が思い出されるけど、ブラームスの作品はその伝統に連なるものだ。だからソナタ形式の第1楽章とロンド形式の終楽章の間に、アダージョとかスケルツォメヌエットなどが挟み込まれてる。おもしろいのは第2番の方で、弦楽器がヴィオラ、チェロ、コントラバスと中低音域の楽器のみでヴァイオリンを欠く。なので木管楽器の響きが目立つのと、日頃あまり目立たないヴィオラの音色で旋律が奏でられるのが新鮮。きっと作曲家から相談を受けたクララ・シューマンも、その響きに魅了されたに違いない。フィルハーモニア・バロック・オーケストラの木管は、基本的に19世紀後半のスタイルの楽器を使っていて、少しくぐもったフルート、堅めで明るいクラリネットの響きなど、とても興味深いものであった。あと、弦楽器が意識してポルタメントをかけているのも大きな特徴のひとつかな。
 ブラームスの「セレナード第2番」には忘れがたい演奏がある。レナード・バーンスタインウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したヴィデオ。バーンスタインブラームスというとCDのでている交響曲や序曲、協奏曲ばかりが有名だが、「セレナード第2番」はニューヨーク・フィルハーモニックとの録音もあるのだよ。ニューヨーク・フィルハーモニックデジタルアーカイブズでは、バーンスタインの書き込みのあるスコアが見られる。

 ウィーン・フィルとのヴィデオは1982年9月の演奏で、バーンスタインらしい生き生きとしたアレグロもよいが、なんといっても穏やかな部分が素晴らしい。この演奏が交響曲や協奏曲のようにCDで発売されなかったのは何故なんだろう?シューマン「マンフレッド」序曲やモーツァルトのピアノ協奏曲みたいに、今からでも出せばいいのにね。