バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 日々雑感

 仕事の帰り、新宿駅から混雑する中央線に乗り換える。誰ともわからない人達と、通勤電車の入り口に吸い込まれる。数というのは数え方で変化するので、「多くの」と言ってしまえばそれっきりだが、「ひとり」の人間が何百人と言うこともできる。私は自分以外の人のことを知らないが、ほかの人達も私を知らない。名前を持つ人達の匿名の空間、孤独の中へ向かう匿名性。
 かつて武満徹は、自分の音楽は不可知なる宇宙の秩序への限りなき賛歌だとした上で、「私は、音楽を通して、「世界」の匿名の部分たりたい。」と書いた。通勤電車の中の匿名性とは対照的に、時間と空間の中へ解消されていく自己という感じなのだろうか。