ウィスペルウェイが弾くレーガーとバッハ
なんとか仕事にけりを付けて、開演3分前に会場に到着。そしたら東京文化会館小ホールで自分が座るはずのあたりに、ずらっとおっちゃんたちが座っているわけですよ。その列の中央にひとつだけ空いているところがあって、そこが私の席だ。どうだ、まいったか。両脇に腕組みをしたおっちゃん、右を向いても左を向いてもおっちゃん。みんな、20分間の休憩の時くらいロビーに出ようよ。ってか、こちらも身動きがとれなくて倒れそうになったぞ。次回は、そこんとこよろしく。
というステキな状況の中でピーター・ウィスペルウェイ(Pieter Wispelwey, 1962- )のコンサート。曲目はレーガーとJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲。楽器はモダン・チェロでモダン・ボウを使っていた。
- レーガー/無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 Op.131c No.2
- J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012
〜 休憩 〜 - レーガー/無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 Op.131c No.1
- J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV1009
- アンコール:J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007 よりプレリュード
休憩前と後で楽器の響きが変わったように聴こえたのは気のせいだったのだろうか。今日、特に素晴らしかったのは4曲目の前半。ウィスペルウェイが奏でるチェロの響きがオーラのように楽器を包み込み、輝きだしたように見えた。一体どういうことだったのだろう?実際、その時だけはウィスペルウェイが楽器を操っているのではなく、チェロがチェリストを操っているかのようだった。そこにあるのはチェロが奏でるバッハの響きと微動だにしない楽器だけ。信じられないかも知れないけど、そういう瞬間が本当にあったのだよ。
- プラチナ・ソワレ 第4夜「無伴奏チェロの至宝」
〔東京文化会館〕
http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_c_2_12.html#4
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