バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ブリテン「ふたつの肖像」

 いつもチェックしているブログ「Good Morning Britten」で紹介されていたベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten, 1913-1976)の習作「ふたつの肖像 Two Portraits for strings」がとても印象深かったのでメモ。

 「ふたつの肖像」は、1930年の日付を持つ16歳の時の作品。ひとつは学友デヴィッド・レイトン(David Layton, 1914-2009)の音楽的肖像。

 そしてもうひとつはブリテン自身による自画像。

 本当は、この他に第3のポートレートがあったようだが、それは失われてしまったらしい。

 NMLにある録音を聴くと、レイトンの方は活発だが気むずかしそうな面を捉えているように聴こえる。シェーンベルクの「室内交響曲第1番」っぽいところがあり、対位法的な展開がなかなかよろしい。
 一方ブリテンの自画像は、それとは全く対照的に穏やかなソロ・ヴィオラの歌で始まる。ピチカートによる伴奏が少し殺伐とした雰囲気を醸し出しており、おおらかに歌っているようで、実は孤独を隠し持っているかのよう。これは誰に対して歌う歌なのだろう?レイトンの肖像は外見の音楽、それに対してブリテンの自画像は内側の暗闇を見つめているのではないか。そんな気がするのだよ。