バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ヘンデル「ロドリーゴ」序曲

 うちの職場は土曜が出勤日なので、ただ今、三連休の最終日。奈落と呼ばれるPCのとなりに机を出して、くにバロで使う楽譜の作成中なのだよ。いつものように、小節番号のついてないヘレンダールのパート譜には小節数を書き込み、フレーズの切れ目やらアーティキュレーションを決めて楽譜に書き入れる作業が続いている。リュリ、ヴィヴァルディ、ヘレンダールの全ての準備をするには時間がなさ過ぎるので、この3日間のうちにヘレンダールの目星だけでもつけておきたいところ。
 演奏会を成立させるにはこの3曲のほかに「もう1曲」何かが必要で、同時並行的に探していてふと閃いた。「そうだ、パーリー・オブ・インストゥルメンツのCDみたいに、ヘンデルの初期オペラから序曲と舞曲を組み合わせたらいいじゃないか!」
Handel in Hamburg-Selections from Almira Nero Rodr
 このCDは、1685年に生まれたゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルが若きハンブルク時代(1703-1706)に書いたか、その時代に由来すると考えられる作品を集めたもの。「オーボエ協奏曲ト短調 HWV278」のほかに、「アルミーラ」「ネロ」「フロリンド」「ダフネ」などの最初期のオペラから器楽曲(主に序曲と舞曲)を組曲の形にまとめて収録しており、当時のハンブルク・オペラがリュリの作品に影響を受けていたという前提の下、フレンチ・スタイルによる演奏が繰り広げられる。たとえば「アルミーラ」のサラバンドはこんな感じ。

 で、その最後に1707年にフィレンツェで初演された「ロドリーゴ」というオペラからの組曲が入っている。フランス風序曲のほかジーグ、サラバンドなど8つの舞曲から成っているだけではなく、その最後がパッサカリアという魅力的な構成で、所要時間17分くらい。クリュザンダー版のヘンデル全集では、これら一連の舞曲は、オペラの第1幕が始まる前に序曲に続けて演奏するような作りになっている。クリストファー・ホグウッド著『ヘンデル』(東京書籍, 1991)によると、序曲は「アルミーラ」から借用され、舞曲も「多分、序曲と同様にいずれもハンブルク時代に作曲されたと思われる」(p.65)とある。ちなみに、最後のパッサカリアは後年改作され、合奏協奏曲作品6の中におさめられている。

 さて、来年のプログラムにヘンデルが入るかどうか。次回の練習で提案してみようか。