バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 ブリテンが指揮するJ.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲」

 「ブリテン・ザ・パフォーマー Britten The Performer」というボックスCDを入手。作曲家ベンジャミン・ブリテンが指揮者あるいはピアニストとしてデッカやBBCに残した録音を27枚のCDにまとめたもの。で、そこに含まれるJ.S.バッハの「ブランデンブルク協奏曲」がとてもいい。ブリテンが指揮するのはイギリス室内管弦楽団チェンバロはフィリップ・レッジャー、1968年の12月9日から17日にかけてスネイプ・モールティングスで録音されたものだ。

Britten the Performer
 60年代のモダンな室内オーケストラによる演奏だから、言ってみれば「普通の」演奏なのだけれど、その普通さがハンパではない。中でも、落ち着いたテンポの中で紡ぎ出される、バランスの取れたポリフォニーが醸し出す響きは特に素晴らしい。例えば第4番ト長調の第3楽章なんか、ポリフォニーのラインがお互いに絡み合う様子を手に取るように聴くことができる。そのあたりちょっとグールドっぽいけど、アルト(セカンド・ヴァイオリン)に対してテノールヴィオラ)を強調するところも何となく似てるのではないかな。

 ギスギスしたところはこれっぽちもなく、奇を衒うということがない。そしてブリテンの作品に見られる、ある種「素直じゃない」感じも皆無。作曲家として無駄に何かを主張するのではなく、バッハが何を書いたのかを活き活きと伝えてくるところが凄いと思ったのであるよ。ブリテン・ザ・パフォーマー、ばんざい。