ゲーベルのベルリン・フィル・デビュー
ラインハルト・ゲーベルのベルリン・フィルへのデビューが無事終わったらしく、デジタル・コンサートホールのヴィデオがリハーサルから本番の演奏会に差し替えられていた。
- ラインハルト・ゲーベルのベルリン・フィル・デビュー
〔ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール〕
http://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/16917/
このヴィデオだと「さわり」しか観ることができないのだが、ジャン=フェリ・ルベル(Jean-Féry Rebel, 1666-1747)の「四大元素 Les Elémens」をコントラバス6本というバロック音楽としては巨大な編成で演奏しているのがおもしろい。それもベルリン・フィルで。
- Rebel: Les Elements / Goebel・Berliner Philharmoniker - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=m_Oh-wIGbA0
これまでベルリン・フィルへ客演した古楽系指揮者がバロック音楽を演奏する様子をいくつか観てきたが、例えばトン・コープマンなんかは、J.S.バッハ「管弦楽組曲第3番」をコントラバス2本という小編成で演奏している。
- Bach: Air / Koopman ・ Berliner Philharmoniker - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=Yy2uHAS-el0
アンドレア・マルコンのヴィヴァルディ・プログラムもコントラバス2本。
- Vivaldi: Gloria / Larsson · Prudenskaja · Marcon · Berliner Philharmoniker - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=TUZ5v3Xv6Ac
ジョヴァンニ・アントニーニもJ.S.バッハ「管弦楽組曲第1番」の時はコントラバス2本で演奏。ただし、彼の場合はヴァイオリンを両翼配置にしたので、コントラバスの位置は左手奥。
- Bach: Orchestral Suite No. 1 / Antonini ・ Berliner Philharmoniker - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=enRgABlt9UQ
エマニュエル・アイムのヘンデル/ラモー・プログラムの場合は、ヘンデルはコントラバス2本、ラモーは管楽器と打楽器が増えるからか3本というスケール。
- Handel: Concerto grosso in G / Haïm · Berliner Philharmoniker - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=btvzre63GZE
- Rameau: Suite No. 1 from stage works / Haïm · Berliner Philharmoniker - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=BgImv8KjKW8
ちなみに、ゲーベルは「四大元素」をムジカ・アンティクヮ・ケルンのCDではコントラバス2本で演奏していた。
- Jean-Fery Rebel, Chaconne-Le feu, Gellee-Mauperche-Dughet - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=elNF9nzkgwE
発電設備がなくPAの存在しないバロック音楽の時代には、演奏会場の大きさに合わせた音量をだすために、弦楽器の人数を増やすか、管楽器で補強していた。音楽の内容によって大編成が似合わない作品もあるだろうが、ゲーベルの実践は、現代のコンサートホールでモダン・オーケストラがバロック音楽を演奏する際の、極めて興味深い一例と言えるだろう。