太陽の塔は猫背だった
仕事で民博へ行くことがあり、少し遠回りかと思ったが、万博公園の中を進んで行くと「太陽の塔」の姿が見えた。それはもう40年以上も前からそこにあるから、「今さら」という感じがする人もいるかもしれないが、まわりの風景の中に違和感なく溶け込んでいる姿になんとなくほっとするものを感じる。
万博の守り神でもあった太陽の塔は、「機械」とか「文明」とか、そんなものたちと真っ向から対立し、お祭り広場の大屋根を突き破るほどエネルギッシュで尖った存在だった。あれから40年程が経ち、大屋根が消滅した今、空から降り注ぐ太陽の光は「太陽の塔」の足下を照らし、隠れていた地面を照らし、芝生やまわりの木々を照らしている。芝生には思い思いに過ごす家族連れやカップルたち。木々の中には、おそらく数多くの鳥や虫たちが暮らしているのであろう。
で、太陽の塔はというと、大きく両手を広げその風景を穏やかに見守っている。「過去の太陽」を背負い、暗闇でビームを放つ「未来の太陽」を掲げた太陽の塔は、過去と未来が交錯する「現在」という場所にずっしりと根を生やしている。太陽の塔自身にもいろいろあったろうが、世の中が一層騒がしくなる中、静かに我々を見守っていられるのは、これまでに歩んできた道とこれから歩むべき道の両方をしっかりと見据えていて立ち位置が揺るがないからなのだと思った。
万博記念公園にある「EXPO'70パビリオン」では、特別展「図面でひも解くEXPO'70テーマ館」というのをやっていた。月曜の昼間だからか見学者がまばらだったが、太陽の塔に関する青焼きの図面や、岡本太郎が制作した展示物などを見て、太陽の塔自身の生命の根源に触れたような気がした。
- 特別展「図面でひも解くEXPO’70テーマ館」
〔EXPO'70パビリオン|企画・特別展〕
http://www.bmkkc.or.jp/expo70pavilion/contents/kikaku.html
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