バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 スタジオ光

 くにたちバロックアンサンブルで10年間お世話になった「スタジオ光」が、練習場としての役割を終えることになった。12月15日(日)にスタジオ光での最後の練習があり、この10年のご報告の意味を込め、オーナーである声楽家のM先生にリュリの「プシシェ」序曲を聴いていただいた。年末なのでくにバロのメンバーも全員というわけにはいかなかったが、いつもより気合いが入っており、少ない人数ながらかっちりとした合奏ができて、なにか区切りがついたような気がした。
 ここまで来るのに、ずいぶんと長い道のりを歩いてきたものだ。バロック音楽の好きなアマチュアが集まり、モダン楽器で、フレーズを分けることに重点をおき、ヴィブラートは極力使わないという方針でやってきたから、ちゃんとした格好が付くまでに長い時間がかかった。最近は練習場を確保するにも苦労する団体が多く、あちこちの会場を渡り歩くのが普通であるようだが、くにバロは長年にわたってスタジオ光を使わせて頂けたおかげで、いつも同じ条件で練習することができた。「くにバロはスタジオ光に育ててもらった」と言っても決して過言ではなく、もしスタジオ光がなかったら、未だにぐちゃぐちゃな演奏しかできなかったのではないか。
 前にも書いたけど、JR国立駅から北口をでて5分ほど歩くと、右手に大きな坂道が出現する。そこは本当に急な坂で、そこを登り切らないとスタジオ光にたどり着かない。練習に遅刻するメンバーがいると、「事故でもあったのでは」と心配になる程の坂だ。これからはその坂を登ることも下ることもなくなるのかと思うと、ちょっぴり寂しい気もする。しかし10年が経ち、子供服が合わなくなってしまった少年のように、くにバロの音もスタジオ光からはみ出しそうになってしまった。そろそろ大切に育てていただいた揺り籠から、一歩外に踏み出す時期なのかもしれん。だから、今は感謝の気持ちとともに「さよなら」を言わなければいけないんだろう。
 どんなに寒くても、暑くても、くにバロの練習が国立であるときには必ず登らなければならない坂があった。その坂を登りきって左に少し行ったところに「スタジオ光」という練習場があった。
2013.12.15 スタジオ光に向かう途中の坂