バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 E.アイムがモダン・オーケストラと奏でるリュリ

 古楽の指揮者がモダン・オーケストラを指揮してリュリを演奏したらどうなるか。ここにとても興味深いひとつの実例がある。2012年11月23日、hr-Sendesaalで行われたコンサートのライヴ。指揮はル・コンセール・ダストレの創設者エマニュエル・アイム(Emmanuelle Haïm)、オーケストラはhr交響楽団(hr-Sinfonieorchester)、旧称フランクフルト放送交響楽団

 オーケストラのサイズは、ファースト・ヴァイオリン8名、セカンド・ヴァイオリン6名なのかな?ヴィオラはたぶん4名、チェロ4名、そしてリュリを演奏するときもコントラバスが2名。木管はモダンなオーボエファゴットが2本ずつ、それからリコーダーが1本。通奏低音はアーチリュートとテオルボ(曲によってバロック・ギターに持ち替え)。チェンバロ2台のうち1台は、アイムが弾くために指揮者の前に置かれている。その他に打楽器、リュリ以外の曲ではバロック・トランペットが加わる。
 弦楽器はノン・ヴィブラートが基本となっており、ポジションも低めで開放弦をよく使っているように見える。サウンドはさらっとした感じで、力強さよりも軽やかさが重視されているから聴きやすい。リコーダーはどうなんだろう、ソプラニーノはよく聴こえるんだけど、1本だけなのでテュッティになると埋もれがちかも。
 お目当てのリュリは「町人貴族」からの組曲となっており、ジョルディ・サヴァールのリュリ・アルバムを参考にしているように思える。たとえばヴィデオの8分頃から始まるサラバンドサヴァールのCDではこうだったから、よく似たコンセプトだと言えるのではないかな。

 ちなみに、シャコンヌまでの8曲が終わったあとで、第5幕の最後に歌われるイタリア人音楽家たちの二重唱が加えられていて、これが文句なく素晴らしい。上掲のヴィデオだと15分37秒あたりから。2台のチェンバロとアーチリュートとテオルボ、そしてモダン・チェロの通奏低音チームが、プリヴァーテ・ムジケのような活き活きとした伴奏を繰り広げている。リュリはこうでなくちゃね。