バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 忌野清志郎「スローバラード」

 一週間前に「いずみ春の祭典」のステージがそこそこ無事終わって、いつも通りの日常が戻っている。いずみホールでの演奏は、そこに至るまでのあれこれを考えると、現状での成果と課題のそれぞれが整理できてよかったのではないかな。ヴァイオリンは以前よりも鳴るようになったし、バス・パートも昨年の演奏会からずいぶん進歩したと思う。次回は安定したテンポが保てるよう、「落ち着き」を身につけられるといい。
 さて、忌野清志郎(1951-2009)の歌に「スローバラード」という作品がある。若き日の清志郎が、パンクした車の中で恋人と一夜を過ごした体験から出来た歌だと言われている。その時ふたりの間だけにあった親密で安らいだ時間と、言葉にできない漠然たる不安のようなものを語った名曲だ。その「スローバラード」の中で清志郎の歌唱をサポートするのは梅津和時のサックス。詩に込められたが言葉にはならなかった感情や光景が表現されているような感じがして、思わず聴き入ってしまった。

 清志郎没後に行われた2011年5月トリビュート・コンサートでは、奥田民生の蛮カラで突き抜けた歌唱に負けないくらいの演奏を聴くことができる。「楽器が、そして音楽が泣くというのはこういうことなんだな」というのが痛いほど感じられて心の震えが止まらない。