バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 コンチェルト・ケルンのヘンデル、バッハ、ヴィヴァルディそしてジェミニアーニ(2014年5月31日、風のホール)

 今年2月のフライブルクバロック・オーケストラに引き続き、同じ「風のホール」でコンチェルト・ケルンを聴いた。くにバロでは第1回(2004年)と第5回(2008年)の自主演奏会でフランチェスコ・ドゥランテ(Francesco Durante, 1684-1755)「弦楽のための協奏曲」を演奏しているが、それはコンチェルト・ケルンのCDを聴いたメンバーが曲に惚れ込んで実現したものだ。そのコンチェルト・ケルンの実演にようやく接することができた。

 若くて実力のある日本の女性がコンミスを務め、ヴァイオリン3名ずつ、ヴィオラ2名、チェロとコントラバスが1名ずつ、それにチェンバロとアーチリュートが各1名とオーボエソリストが1名。小振りなスケールだが、フライブルクより音量は大きかったように思う。チェンバロとアーチリュートが真ん中で、左にファースト・ヴァイオリンとヴィオラ、右に低弦とセカンド・ヴァイオリンという配置。事前に発表されていたプログラムで「ほか」となっていたところには、ジェミニアーニコレッリの「ラ・フォリア」を合奏協奏曲の形態にアレンジしたものが演奏された。

  1. ヘンデル / 合奏協奏曲 ト長調 op.6-1
  2. J.S.バッハ / ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV1041
  3. ヴィヴァルディ / 弦楽のためのシンフォニア ロ短調「聖なる墓にて」 RV169
  4. J.S.バッハ / オーボエ、ヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
  5. ヴィヴァルディ / 弦楽のための協奏曲 ト短調 RV156
  6. J.S.バッハ / オーボエ・ダモーレ協奏曲 イ長調 BWV1055
  7. ジェミニアーニ / コレッリの「ラ・フォリア」による合奏協奏曲 ニ短調
        - アンコール -
  8. エイヴィソン / スカルラッティソナタによる7声の協奏曲 第6番 から 第2楽章 コン・フォーコ
  9. フランソワ・マルタン / 交響曲 ト短調 Op.4 から 第2楽章 アンダンテ

 今回来日したコンミスさんがパワフルなのでどの曲も盛り上がり、充実したコンサートとなった。中でもジェミニアーニでは、コンミスを中心としたコンチェルティーノの丁々発止のやりとりが、作品に燃え上がるような生命力を与えていたように思う。コンチェルト・ケルンでは昨年5月にも同じコンミスさんがジェミニアーニが編曲した「ラ・フォリア」をやっていて、YouTubeにそのライヴ録音があったので聴いてみたが、この3倍は燃え上がっていたと思えばいいかもしんない。

 YouTubeには同じコンミスさんがソロをとった2010年の「ラ・フォリア」もあって、そちらでは416Hzの低いピッチでバロック・ボウを使いながらモダン楽器を弾いている。演奏に不自然なところがなく、最後まで緊張感がとぎれないのがすごい。燃え上がり方という点では、このヴィデオから受ける印象の方が近いかも。