バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 フランス・ブリュッヘン追悼

 2014年8月13日、フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen, 1934-2014)がアムステルダムの自宅で亡くなった。8月13日というのは、山田一雄の命日と同じ日なのだそうだ。生まれ月も同じ10月、ヤマカズの享年は78歳だったがブリュッヘンは79歳。

 自分にとってブリュッヘンとは、18世紀オーケストラとともに音楽を創造した人であった。1980年代頃の音楽雑誌に、「フランスは本当にラモーが大好き」という18世紀オーケストラの日本人メンバーによるコメントが掲載されていたように記憶しているが、ついにこのコンビのラモーを実演で聴くことはなかった。チケットは発売されたが中止となってしまった幻の初来日プログラムがラモーとベートーヴェンだったので、「それが実現していたら」と強く思わずにはいられない。
 YouTubeにはブリュッヘン18世紀オーケストラが2013年に演奏した「ボレアド」のヴィデオがある。オーケストラを指揮するブリュッヘンの手は穏やかな、本当に穏やかな時間を紡いでおり、オーケストラもその時間を共有しているのがわかる。ここにいるのは指揮者とオーケストラではなく、ただ時間を紡ぐ者と楽器を奏でる者だけだ。そして、ここにこそ彼らが最後に到達した境地があるのではないか。 合掌。