バシッといこうぜぃ blog

バロック音楽や弦楽合奏曲を中心にいろいろ。

 エドワードごっこ

 うちには猫が2匹いて、まぁあたりまえだが、それぞれに名前がついている。最近、その2匹にあだ名をつけて呼んでみたら、会話が弾むようになった片方から「みゃあ」だの「むぁ〜」という反応が返ってくるようになった。言っていることがわかるわけではないのだろうが、何か呼びかけられているようには感じるらしい。
 あだ名をつけるときに、いろんな名前を試してみた。「麻呂」や「権蔵」のようなレトロなもの、「セバスチャン」やら「ルートヴィッヒ」などのドイツ系の名前は、あまりお好みではなかったようだ。「何言ってるかわかりませーん」みたいな顔をしてこちらの方をじっと見ている。あと「カトリーヌ」という候補も挙がっていたが、おっさん猫なのであっさり却下。もっとも二人とも手術済みのおかまちゃんだから、片方くらいは新宿2丁目風の名前でもよかったのかも。
 んで、つけてみたあだ名は「エドワード」と「サンプラザ」。無口な方からは何の反応もないままだが、会話が弾んでいる方は最初から多少の反応があって、「そうだよなぁ、エドワード」と何度か話しかけると、今ではめんどくさそうに「まぅ」と小声で返すくらいにはなっている。
 それからは、朝起きると「おはようエドワード」、帰ってくると「ただいまエドワード」、夜寝るときには「おやすみエドワード」と声をかけるようになり、うちではこれを「エドワードごっこ」と呼んでいる。
 
むきえびのポーズ
 

 すちゃらかルーヴァン道中記(その4・さいご)

 Flickrにベルギー出張の際に撮った写真をアップ。今回は全部で90枚くらいになってしまったので、5つのアルバムに分割してみた。

  1. すちゃらかルーヴァン道中記
  2. 25th EAJRS conferenceの会場
  3. ルーヴァン大学中央図書館
  4. Maurits Sabbe Library見学会
  5. 王立美術・歴史博物館(ブリュッセル)

 「1.」にはルーヴァンの有名なタウンホールや週末のマーケットの様子、レストランで食べたものなどいろいろ。「3.」には、日本とルーヴァンとの歴史的関係を体現しているルーヴァン大学中央図書館の外観、およびそこで行われたイベントを掲載してみた。「5.」ではブリュッセルにある博物館の大きさを感じていただけるのではないかと思う。
 ルーヴァンという街は、過去と現在がうまい具合に同居しているような感じがして、とても印象深いところであった。親切な方が多く、これは私たちも見習わなければならない。ビールはもちろん、パンもおいしくて、「1.」を見られたら毎朝同じものを食べたのがバレてしまうな。料理はどれも美味なのだけれど、自分には分量がとてつもなく多くて、結局ワッフルまでたどり着けなかったのが心残り。10年早く行っていれば、ビールはあと5〜6杯、料理もあと4〜5皿、パンは10個くらい余計に食べられていたんだろうなぁ。
 
ルーヴァンは昔と今が同居
 

 クリストファー・ホグウッド追悼

 2014年9月24日、クリストファー・ホグウッドChristopher Hogwood, 1941-2014)が73歳で亡くなった。この7月に病気のためとして東京都交響楽団の11月定期をキャンセルしていたが、まさかこういうことになるとは。

 ホグウッドと言えば、なんと言ってもヤープ・シュレーダーとともにアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(The Academy of Ancient Music 略称:AAM)という古楽器オーケストラを指揮したモーツァルトの「シンフォニー」全集である。「ともに」というのは、当時の習慣に従ってシュレーダーコンマスの席でヴァイオリンを弾きながら、ホグウッドはチェンバロあるいはフリューゲルを弾きながら協働で、ということだ。「交響曲」ではなく「シンフォニー」という概念はとても新鮮なものとして受け入れられたが、音楽学者ニール・ザスロウ(Neal Zaslaw, 1938- )の強力なサポートを得て、地域とオーケストラの編成・サイズとの関係を軸に組み立てたそのレコードは、音楽学が「演奏」というものにどう貢献するのかということを極めて具体的に示すものでもあった。
 ホグウッドの公式サイトに掲載されている情報を見ると、このプロジェクトにおける最も早い録音年は1977年(第2巻)であり、一番最初にリリースされた第3巻の発売年は1979年となるようだ。ちなみに、18世紀オーケストラの最初の演奏会が1981年だから、ホグウッドたちは、先日亡くなったブリュッヘンに先駆けて古典派のシンフォニーを集中的に取り上げていたことになる。

 ホグウッドは、生前のインタビューで「巨匠風にも演奏できるが、意識してそういうことはしない」と言っていたように思う。彼の録音に聴かれる贅肉を削ぎ落としたような「潔癖さ」というのは、こういうところから来ているに違いない。私たちが心待ちにしているジェミニアーニの校訂譜の続編も、徹底した調査や資料批判を経て潔癖な内容になっていることだろう。そういえばAAMとの最初のレコーディングもジェミニアーニだったな。心からご冥福をお祈りしたい。

 すちゃらかルーヴァン道中記(その3)

 ルーヴァンの最終日、9月21日。まさかの雨。正確には、朝飯を食べ終わったときにはやんでいたのだが、チェックアウトする8時40分頃には遠慮無しにザバザバと降っている。駅まで歩くと20分くらいかかるので、バスに乗ろうとバス停まで行くと、電光掲示板にルーヴァン駅行きのバスは8時55分とある。ブリュッセル国際空港行きの列車がルーヴァン駅のプラットホーム「A」に入線するのは8時58分、出発は9時7分だから、ほとんどギリギリという感じ。
 悩んだ末に、ザバザバの雨の中をスーツケース大小ひとつずつを転がしながら歩くことにした。傘は持っているが、両手に荷物なので差すわけにもいかず、当然ずぶ濡れ。雨合羽というのは、こういう時のために必要なんだな。
 で、服も荷物もびしょびしょになりながら駅に着くと、プラットホーム「A」というのがわからない。ええい、今止まってる一番向こうの列車だろうと行ってみたら、出発時間も行き先も違う。近くにいる人に聞いたら、親切にも「一番手前のホームを先の方に歩いたところにあるよ」と教えてくれた。ありがたし。そこから荷物を引きずりながら移動すると、目の前で空港行きの列車がホームから出発して遠ざかって行くではないか。あらま。。。
 というわけで、1時間に1本という空港行きの列車を逃し、ずぶ濡れの身体を風で乾かしながら、次の列車を待ったのであるよ。飛行機には間に合ったし、風邪を引かなかったからよかったけど、海外出張はいつもこんな調子で、土壇場に土産話がひとつ増えるんだな。
 
10:07発の列車を示す案内板
 

 すちゃらかルーヴァン道中記(その2)

 いきなりEAJRS(日本資料専門家欧州協会)最終日の9月20日(土)。会合が全て終わり、遠足の集合時間まで2時間ほどあるので、ルーヴァン大学中央図書館のまわりでぶらぶら。日本では全然見ることのなくなったCD屋があったので、店の様子をじっくり見る。クラシックのCDはなかったけど、ポップなCDのジャケットが数多く飾られていて妙に落ち着く雰囲気。こういう店が近所にあったらなぁ。下の写真は17日の夜に撮ったもの。
 
BILBOの店先
 
 CD屋を出て大通りに向かう途中の美容院。窓際に並んでいる人形の頭がふさふさして、そこそこうらやましい。
 
美容院の窓際
 
 週末のマーケットも始まっていて、なんとなく野菜やソーセージ、オリーブやチーズなど食材の店に目がいってしまう。で、このパン屋は店先に試食品をだしていて、たくさんのお客を集めていた。ひととおり食べてみたけど、けっこう美味い。バスに乗る前でなかったら、しこたま菓子パンを買い込んだのに。残念。
 
マーケットのパン屋
 
 でも、やっぱり猫はいないなぁ。人のいるところに猫ありきかと思っていたんだけど、猫番組の見過ぎだったかも。仕方がないので、午後の遠足で見た猫の絵を貼っておこうか。しっぽが短い日本猫。異国の地で何を思って格子の向こうを見ているのだろう。
 
美容院の窓際
 
 さて、職場の仕事も終わったので、くにバロで演奏するヴィヴァルディの楽譜の準備をしなければ。
 

 すちゃらかルーヴァン道中記(その1)

 9月16日に成田を発ち、ヘルシンキ空港でトランジット、その日のうちにブリュッセル国際空港から無事ルーヴァンのホテルに到着。成田からはJALで機体は787-8。エコノミークラスにしてはシートがゆったり気味で、気流の悪いところ以外は全然揺れなかった。食事は2回。で、2回目はエア吉野家とか言ってミニ牛丼がでて、なんとなく日本を離れるんだな、という実感がわいてくる。
 EAJRS(日本資料専門家欧州協会)の会合初日は、プレゼン大会の後、ルーヴァン大学図書館の閲覧室で雅楽のコンサート。北之台雅楽アンサンブルというグループの小さな編成による公演。
 会場となった閲覧室はそんなに大きくはないが、コンサート会場で言えばムジークフェラインのようなシューボックス型をしている。昼間は大きな窓から明るい外光が差すのだろうな。この時はちょうど向かいの広場に移動遊園地が来ていて、アメリカン・ポップかなんかをガンガン鳴らしていて、当然その音が閲覧室の中にも入ってくるという状態での公演。お気の毒。
 で、「おもしろいなあ」と思ったのは、閲覧室の中では、コンサートの説明をする人の声は全然届かないのに、雅楽の楽器の音は綺麗に響いてくる。ただ、クラシックの会場のような残響がなく、かといってドライというわけでもなく、本当にちょうど良い音響だったのには驚いた。図書館の閲覧室という条件での音環境がどうあるべきか、よくわかってる人が作ったんだなあと、ただただ感心した夜であったよ。
 なお、猫にはまだ遭遇してない。どこにいるんだろう?
 
ルーヴァン大学中央図書館閲覧室
 

 会話とコミュニケーション

 うちには猫が2匹いて、最近そのうちの1匹と会話をかわすことが多くなった。会話と言っても、「ニャー」と言ったら「ニャー」と言い返す。「むぁ〜」と言ったら「むぁ〜」と言い返す、という程度のことなんだが、このピンポンのようなやりとりの回数が、あることをきっかけに増えた。
 人間の方がコツを掴んだと言うのだろうか。どうやら、音の高さや長さ、声の表情なんかをできるだけ相手と同じように正確に発音すると、さらにもう一言「みゃあ」と言うことがわかった。もっとも、声のやりとりが弾んでいても、お互い何を言っているかはわからないから、ある瞬間に突然尻切れトンボのようにやりとりが終わってしまうのだよ。「なんだよ、このおっさん。わかってねぇなぁ」という感じで去って行く猫。こういうのはコミュニケーションとは言わないのではないか。
 それはともかく、この法則が当てはまるのはうちの猫にだけなのかどうか、悶々としていたところ、あるとき飛鳥山の猫がこちらに向かって「にゃあ」と声を掛けてきた。夏の暑さもとれてきた、9月はじめの夜19時頃、王子駅側の公園入り口付近にある大きな石の上での出来事だ。最近は、街中を歩いていても声なんかかけられたことがないのに、茶トラの猫が突然「にゃあ」と言ってきた。
 そこで、胸の高鳴りを押さえつつ、できるだけ相手と同じように静かな感じで「にゃあ」と言い返してみた。そしたら、その茶トラがもう一回「にゃあ」と言うではないか。おお、もしかしたらこれは猫界では一般的な「お作法」なのかもしれないぞ、とその時思ったわけだ。
 というわけで、ルーヴァンに行ったら、このお作法がベルギーの猫にも通じるかどうか試してみるので、期待して待っていて欲しい。なんかよくわからないけど、乞うご期待。では、今日はこれにておやすみなさい。